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仔N
一番好きな人・2


「お久しぶりです、アデクさん」
「久しぶりだな!元気にしてたか?」
「久しぶりって言っても貴方、先週も来たじゃない」

カトレアさんがさっきからトゲのある発言をするのには、訳がある。

トレーナーとしてのアデクさんには、一目置いているらしいのだけど、とある人物が関わる事では敵対しているのだ。
といっても、当事者は全く気付いて無いんだけどね。

「カトレアおねえちゃん、みんながおいしかったって!あ!アデクだ!」
「おぉ、N。久しぶりだなぁ!」

中身が半分程になったバスケットを抱えたNが、カトレアさんに向かって走ってきた。途中でアデクさんに気付いたらしく、彼に向かって手を振る。

Nを見たとたん、アデクさんの顔がパアァッっと輝く。
そう。アデクさんはNが可愛くて仕方ないのだ。はたから見たら孫を可愛がるお爺さんのよう。
同じくNの事を可愛がっているカトレアさんには、自分だけで可愛がることができなくなるから嫌らしい。

「ほぅら。今日はビレッジサンドを持ってきてやったぞ!皆で食べようじゃないか!」
「わぁーい!」

抱えていた紙袋の中身は、ビレッジサンドだったらしい。一体幾つ買ってきたんだろう。

「アデクありがとー!」
「どういたしまして、ほら抱っこしてやろうっ!」

アデクさんはそう言って、紙袋を近くにあったテーブルの上に置くと、Nを抱き上げる。

「きゃー!たかーいっ!」

はしゃぐNにアデクさんもほだされたみたいで、たかいたかいを始め、数回やるとNのことをぎゅーっと抱き締めた。

「アデク、おひげいたいーっ!」

アデクさんの無精髭が、Nの頬にあたるらしく、Nがいやいや!と首を左右に振った。
嫌がられたのがショックだったらしく、アデクさんはNに言われるまま彼を降ろす。

「ブラックー」
「はいはい、おいでー」

パタパタとこちらに駆け寄って来たNを抱き留める。アデクさんは離れた所で落ち込んでいるし。

「……N」
「なぁに、カトレアおねえちゃん」

カトレアさんが、Nと目線をあわせてしゃがみこむ。Nはこてんと首を傾げた。

「ねぇ、N。私とアデクどっちが好き?」

うわぁ、なんて質問。そして今の流れだと答えなんて大体予想がつく。

「カトレアお姉ちゃん!」

ほらな、やっぱり。しかも、即答したもんだから、アデクさんには大ダメージだろう。あぁ、ますます落ち込んじゃったよ。

「本当?嬉しいわ。私もNが大好きよ」

満足いく答えにカトレアさんは満面の笑みを浮かべている。
ぎゅっとNを抱き締めると、Nも小さい手をまわして抱き締めかえしてるし。

「儂だって、大好きだと言うのに…」

やっぱり若い方がいいのだろうか…なんてアデクさんはぶつぶつ言い始めた。適当に慰めないとダメそうだなぁ。

「そんなこと無いですよ、アデクさんのこともNは好きですって」

仕方ないと溜め息を吐きつつ、アデクさんを慰めにいく僕。
だから、そのあとNとカトレアさんがこっそり話を続けていた事に僕は気付かなかった。

「あのね、でもね、カトレアお姉ちゃんもすきだけど、ボクがいちばんすきなは、ブラックなんだよっ!」
「そうなの。ブラックはNのこと好きって言ってくれる?」
「うん!だいすきっていってぎゅーってしてくれるの!」

そう嬉しそうに話すNにカトレアさんは、Nの髪をやさしく撫でたのだった。



End。



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あきゅろす。
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