通常
極彩色の世界をキミに。6
急にレシラムが顔を上げて、空を見つめる。
それとほぼ同時に何かの波動を感じたのか、リオルが僕の上着を掴んで空を見上げながら声を上げた。
「レシラム?リオルも。どうしたんだ?」
体を起こしたレシラムは僕の問い掛けに応えずに、空の一点を凝視している。
リオルは片手をレシラムが見ている方へと向けて、何かを僕に伝えようとしてるのが分かるのだけれど、何が言いたいのかはよくわからない。
これが彼だったのなら、直ぐに分かるんだろう。
「…………っ!?」
ドクンッ。
突然感じた衝撃のようなもの。これは、リオルから感じる波動だ。
頭の中に叩きつけられる様に映像が浮かぶ。きっとリオルが感じたものを、波動を通じて僕に伝えてくれたのだろう。
頭の中に直接浮かんだ映像。
それは。
「くろい……ドラゴン…」
僕は立ち上がり、レシラムと同様に空を見上げた。
僕らの異変に気付いたのか、遊んでいたはずのダイケンキ達の声がピタリとやんだ。
僕にしがみ付く様にリオルが足元に立って、服を握っている。
波動を通じて感じたその正体が何なのかを、唯一あの事件を知らないリオルには、恐怖でしかないのだろう。
「…大丈夫。怖くないよ」
そっとリオルの肩に手を乗せる。
大丈夫。あの姿が偽物でないのなら、僕らに害を為すことはないはずだ。
「――――!!」
レシラムが咆哮を上げた。
雲の切れ間から返事のように取れる咆哮が聞こえ、少しずつその姿を確認する事ができる。
レシラムと対を為す、伝説の黒いドラゴンポケモン。
アイツを主と認め、共にその姿を消した……
ゼクロムの姿を。
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