嗚呼 それもまた あれ、可笑しい な。 俺は元来、Sの気質があると思っていた。 どっちかって言ったら上に乗りたい方なんだ。そうだった筈だ。 十代だって、ちょっと前までは何かちっこくてかわいらしいと思ってたのに。 何時の間にかあほ毛も消えて、心なしか目も鋭くなった様に見えた。雰囲気変わったな、十代。 と、そんな事を考えている場合じゃなかった。 問題は、今のこの状況だ。 「はっ、ヨハン、ぁ、あ…何、考えて、る…?」 俺の上に跨がり、腰を揺らす彼。 痛いくらいに勃ち上がった中心は彼の内部に収まり、未だ足りないと言う様にぴくぴくと震えてやがる。情けない。非常に情けない。 喘ぎながらこちらへ向ける艶めいた笑みはとてつもなく扇情的で。挑発されるがままに、俺の中の官能を呼び覚ます。 何だ、一体どうしてしまったんだ。俺は。俺の躯は。 未だ戸惑いを覚え応えを返せないでいる俺に、十代は痺れを切らしたらしく、中心が入り込んだ秘処を意識的にきゅっと締め付けてきた。一瞬息を詰まらせ思考を全部持っていかれてしまい、それに満足気に彼の目が細められる。 「な、一緒に気持ち良くなろうぜ」 「十代…」 どうしてしまったんだ、本当に。 そうやって煽られる度に躯がずくりと熱を生み出し、嫌と言う程に疼く。 無意識に喉から出た彼の名前も、余裕なんて微塵も感じられなかった。 だって、こんなに気持ち良い。 気付けば十代は自ら快楽を得ようとぷくりと勃ち上がった乳首を指で弄り出し、舐める様な視線でこちらを見詰め、ぺろりと舌舐めずりをしてみせた。 やばい。えろい。 ごくりと唾を飲み込んだ俺に、彼はまた妖しく笑ってみせた。 「は、ぁ…あ、ヨハ、ン…っ」 「…っ、」 それが煽ろうと業と出された声でも構わない。 寧ろその方が、と思ってしまうのは何の心境の変化なのだろうか。可笑しいな。 正しく十代に翻弄されている。 彼を貪りたい。彼の中に、欲望をぶちまけてしまいたい。 内部を刔ろうと自然と揺れてしまう腰は次第に快楽を伝え、上に乗る彼は口角を吊り上げて。 「あ、ぁ…い、い、もっと…ヨハン、ヨハ…、あぁっ」 「、十代…っ!」 嗚呼 凄くイイ。 何かしっくり来るのは気の所為だろうか。 十代だけじゃなくて、俺も変わったって事なのか。 「ん、ぁ…ヨハン、イきたい?」 「は、っ…、イき、たい…っ!」 高ぶった躯は熱に浮かされたみたいだった。熱の篭った声音が耳をくすぐると、ぞわりと快感が背筋を駆け抜ける。 欲望のままに、考えた事がフィルターに掛からずそのまま外に押し出されて。この上無い高揚を覚えた。 すると余裕の無い俺に不敵な笑みを浮かべた十代は、べ、と徒に舌を出してみせて。 「未だイかせてやらない」 嗚呼 それもまた良い、なんて事は。 08/4/15/ |