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◇理性なんてなくして★


暗い部屋の中。
俺と宍戸さんの吐く息だけが聞こえていて。

なんとも背徳的な気がするのは何故だろう?

すでにこの行為は初めてじゃないのに。
こんな夜更けにするのは初めてだろうか?
何かいけない事をしている気を起こさせる。

「宍戸さん、力抜いて?」
「んん…むり…。いてぇ」
「でも、このままじゃ入らないよ…?」

初めてではないが、数回しかしてない行為に宍戸さんはまだ慣れないようで。
力んでしまってる宍戸さんを何とか力を抜かせるようと、優しく頬を撫でる。
短い髪に手を入れて梳いたりもする。
まるで小さい子をあやすような手つき。

少しずつ、少しずつ腰を進めるがなかなか入らない。

「いっ…てぇ、むりだって…」
「入っちゃえば、後は大丈夫ですから…」

制止の言葉を吐く宍戸さんを無視して、少し強引に腰を押し進めた。

「いてぇ…つってんだろうが!!」
「いてっ!」

痛みに耐えきれなかった宍戸さんの踵落としが背中に炸裂する。
あまりの衝撃に、入りかけていたモノが抜ける。
痛みに背中を押さえながら宍戸さんを涙目で睨むと、宍戸さんは起き上がりつつ俺を睨んできた。

「痛いじゃないっすか。少しは我慢してくださいよ」
「俺の痛さに比べたら、屁でもねぇだろうが」
「仕方ないじゃないですか。ローションがないんすから、多少の痛みくらい」
「全然『多少』じゃねぇんだよ!…てめぇにも味あわせてやろうか?」
「…遠慮します」

何故今日に限ってローションを買い忘れていたのか…。
何か別の物で代用しようにも、特に使えそうな物もない。
だから、仕方なく慣らす行為を丹念にする事で済ませようとしたのだが、甘かったらしい。

「って、何で着替えてるんすか?宍戸さん」

俺が後悔してる間に宍戸さんはいつのまにか着替えはじめていた。

「やる気が失せた」
「そんな!?これからじゃないですか!」
「痛い思いしてまでやりたくねぇし」
「だったら、痛くなくなるまで慣らしますから!」

自分でも情けないくらいの顔と声で必死に宍戸さんに縋りつく。
そんな俺を宍戸さんは蹴り飛ばす。

「うぜぇ!!」
「うわっ!」

蹴り飛ばされた俺は、ベッドから転がり落ちた。
宍戸さんは、落ちた衝撃で腰を痛くして、その場でうずくまって震える俺を、ベッドの上から冷ややかな眼差しで見ている。

「それじゃあ、今日は出来ねぇな」
「わ、わざとですか?」
「お前の反射神経が鈍いだけだろ?」

ズバッと切り捨てられる。
もしかして宍戸さんは俺とやるのが嫌いなのだろうか?
それとも、プライドの高い彼が受け身な事に納得いってないとか?

「…俺にやられるの嫌ですか?」
「………別に」

一瞬きょとんと目を丸くさせてから、小さくポツリとつぶやいた。
少し頬を染めながら。

(か、可愛い!)

「何、ニヤけてんだよ」
「え?そんな事ないですよ!」

また殴られそうな雰囲気だったから、慌てて否定する。

「嫌じゃないなら、何で今日はそんなに拒否るんですか?」
「今日は痛かったし…」
「それはちゃんと慣らしますから」
「そういう問題じゃねぇし」
「じゃあ、何でですか?」

そこまで言うと、宍戸さんは俯いてだまってしまう。
「宍戸さん?」
「…さら…」
「え?」

宍戸さんが何か言ったが、小さすぎて聞き取れない。
聞き返すと、宍戸さんは真っ赤にさせた顔をあげて睨んでくる。

「今更、恥ずかしくて出来ねぇんだよ!!」

少し涙目で顔を真っ赤にさせて、怒鳴る宍戸さんに何とも言い表わせない感情がフツフツと沸き上がってきた。
そして考えるより早く、俺はベッドの上にあがると、宍戸さんをその場に押し倒した。
急な展開に反応が遅れた宍戸さんは目を見開いて、自分に起こった事を理解しようと必死になっていた。

「恥ずかしいなんて思えないくらい感じさせてあげますよ」
「なっ…。…や、やめっ」

俺は宍戸さんの感じる場所ばかり攻めたてた。
いつも以上に丹念に慣らしたのが、宍戸さんには焦らされたように感じたらしく最終的には宍戸さん自身わけがわからなくなってしまったようで、今までされるがままだった彼が自ら腰を動かし始めてしまった。

視覚的にも感じさせられて、俺達はいつもよら早く、しかし同時に果てたのだった。

そしてそのまま宍戸さんは意識を手放し、俺は彼の後処理をした後に宍戸さんの隣で眠りについた。








次の日。

「あ゛ー、喉イテェ…。腰もイテェ…」
「う〜…。腰と背中が痛い…」

宍戸さんは声の出しすぎといつも以上の激しい動きに、喉と腰を痛めた。
俺はベッドから落ちたときの痛みがひどくなり、背中は宍戸さんの爪で傷つけられた痛みで、動けなくなってしまった。

そして宍戸さんに当分セックス禁止令を言い渡されるのだった。



――――――後書き
ギャグっぽいエロを目指して、撃沈。

(06.06.19)



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あきゅろす。
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