◇熱い(微★)
午後の部活も終わって、今俺、鳳長太郎は部室で着替えていた。
いつも他のレギュラーが帰った後まで残って練習をしているからか、部室には俺と宍戸さんしかいない。
「宍戸さん、着替えないんですか?」
ポロシャツを脱いでから、一向に制服を着ようとしない宍戸さん。
「んー。なんかあちーんだよな」
「運動した後だからじゃないですか?風邪ひきますよ?」
「長太郎…」
まるで母親のように制服を着させようとした俺の腕を掴むと、宍戸さんは熱に潤んだ瞳で俺をじっと見上げてきた。
「な、なんですか?」
俺の心臓はバクバク言ってるし、気持ちは押し倒したくて仕方がなかったが、あくまで平常心を装って尋ねる。
「ちょうたろ…。熱くて変になりそう」
これって所謂発情ってやつですか!?
ここでやらねば男じゃない?
「熱、逃がしてあげますよ…」
「…っ。んぅ、…ぁ」
俺は宍戸さんに口付けると、強引に舌を絡めた。
「……んぁ、あ、やだ…あつぃ…」
本当に宍戸さんの口の中は熱い。
以前もこんな事があった気がする。
確かあの時は宍戸さんが風邪をひいて…――。
「し、宍戸さん!風邪ひいてるんじゃないですか?」
「風邪なんかひいてねぇよ…」
自覚症状がないのだろうか?
宍戸さんは頑なに風邪だと認めようとはしない。
「俺、体温計持ってるんで計りましょう!」
ピピピッ――と計り終わった合図が鳴る。
脇から体温計を取り出して見た宍戸さんの動きが止まる。
「何度でした?」
「……ん。」
自分では言いたくないのか、信じられないのか、体温計を差し出す。
受け取った体温計に出された数字を見て驚いた。
「38.0℃…」
明らかに風邪だった。
この後、宍戸さんを家まで送った俺は、風邪をひいてる宍戸さんには気を付けようと心に決めたのだった。
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乙女宍戸全開。(笑)
頑張れ、長太郎!って事で。
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