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「壱弥、学校どんな感じ?」
帰宅して開口一番に蓮見さんは尋ねる。
「どんな感じって…。想像してたのと大して違わないよ。」
悪い意味で。
「周りの人間の事?」
蓮見さんはストレートに言ってくる。
この率直さは嫌いじゃない。
「うん、…そう。」
本当に思った通りの反応だった。
紅い髪はやはり世間にとっては異様なものなのだ。
中学に入って一番に言われたのも髪のこと。
私が何度『地毛だ。』と言っても分かってもらえず、結局それ以来学校には行かなかった。
卒業式も出ず仕舞い。
後悔はしていない。
寧ろそれで良かったと思っている。
自分の価値観を押し付ける大人には心底うんざりだ。
私はこの髪の色に誇りを持っている。
これは私が生涯背負って行かなければならない呪縛なのだ。
だから、誰に驚かれようと、後ろ指指されようと染めるつもりはさらさらない。
逆に驚かない方が不思議だけど。
「女の子って何人いるの?」
「3人。」
「もう仲良くなったー?」
「全然。」
名前の順からして、私が1番で、次に殿山桜華(トノヤマオウカ)、葉月渚(ハヅキナギサ)と並んでいる。
殿山桜華は男に囲まれていて、とても話し掛けられるような状況じゃ無かったし、葉月渚は明らかに話し掛けんなオーラ全開だったし…。
「折角練習した笑顔、使わず仕舞い?」
「あんなキモチワルイ笑顔なんて使えないよ。」
鏡で見たけどありゃ最悪だった。
胡散臭さ満載。
「早く友達できるといいね。」
「当分は無理そうだよ。」
取り敢えず明日からは男友達も視野に入れてみようと思った。
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