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所変わって体育館。ここで私は本日2度目の、そして最大級の騒めきを聞くこととなった。
「新入生代表、1年1組鬼之崎壱弥(キノサキイチヤ)。」
「はい。」
とお座なりな返事をして立つとこの五月蝿さだ。
私は何度目か分からないため息をついた。
そもそも、こんなことになったのはあいつがこの高校はハイレベルだ、と言った所為であって、受験勉強なんてロクにしていなかった私がそんなことを言われて本気を出さないハズはなく、その結果このザマなのだ。
と言うのも、入学式以来行っていなかった中学時代に高校の範囲を終わらせていたからである。
兎に角、いらん注目を受けず、出来るだけ地味に過ごそうと思っていた高校生活は開始する前にピリオドを打たれてしまった訳である。
美辞麗句を連ねた挨拶の文句を言い終え、席に戻ろうとすると、視界の端に白い物体を捉えた。
思わず二度見をしてしまい、気を取り直してもう一度見ると、ビデオカメラを構えたあいつがこちらに向かって手を振っているではないか。
…恥ずかしい、恥ずかしすぎる。
高校生の入学式にビデオカメラだと…!
その後、入学式が終わるまでの六十分間、顔から火が出続けていたのは言うまでもない。
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