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「何で助けたのよ。」
殿山桜華は助けられた身の癖して上から目線で言う。
私、責められるような事したか?
「そこに修羅場があったから。」
「は?何ですの?それ。」
「それに、この学園の女子3人の内1人が危険に晒されてんだよ。助けるしかないじゃん。」
「誰も助けてなんて言ってませんわ。わたくし1人でも充分何とかできたことです。それに、あ」
「はいはい。分かったから。ごめんね、助けたりなんかして。お節介が過ぎたよ。」
「ふ…ふん。分かればいいのよ。」
お、何か扱い方が分かってきたぞ?
「これを機会に、仲良くなりませんか?」
ちょっと押してみる。
「は?ご冗談を。」
敢えなく玉砕。
「わたくし、貴方みたいな野蛮で奇抜な方とお友達になどなりたくありませんわ。」
随分口が達者なことで。
「奇抜って、…残念だけどこの髪は桜の茶色い髪と同じで地毛だよ。」
「ふん。慣れ慣れしく呼ばないでくださる?わたくしのは言うまでもなく地毛ですが、貴方のより数倍マシですわ。同じなどとは言わないでください。」
殿山桜華はウェーブのかかったミルクティー色の髪を揺らして優雅に腕を組む。
「なら、殿山サンって呼べばいい?」
「ッ!苗字で呼ばないで!!」
殿山桜華は突然、顔を真っ赤にして怒り出す。
「…何で?」
「うるさいですわ!と、とにかく、苗字はやめて頂戴。」
「へぇ。なら、“桜”って呼ぶしかないよな。」
「ふん、勝手にしなさい。」
ちょっと意地悪に言い過ぎたかな?
まぁ、桜ほどではないか。
「あ、私のことは壱弥とでも呼んでよ。」
「貴方なんて、鬼之崎で充分ですわ。」
なんかその方が友達っぽいかも。と、反撃にぽつりと私が言うと、桜は更に顔を赤くしてそっぽを向いた。
それから踵を返して歩いて行く。
「鬼之崎!そんなところにぼさっとつっ立ってないで行くわよ。」
振り返ってそれだけ言うと再びスタスタと歩いていく。足元が覚束ないらしく、柱にぶつかっては「目障りな!」と言っている。
…何か、面白いな。桜。
私は込み上げてくる笑いを堪えつつ、桜の後を追って走った。
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