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青鬼四人組の学校生活とか妄想したら共感者欲しくなった
たまにはまともに書いてみよう


「ずっと前から興味がありました」



勢い良く起きてみれば回りはまだ真っ暗で、携帯を開いてみれば好きなアーティストの待ち受け画面と一緒に4時20分と目に入った。額に手を当ててみると少し汗をかいている。


「・・・んだよ〜夢かよ」

起こした体から力を抜き、また勢い良く倒れる。目元を腕で押さえ静かにしてみれば心音がやけに騒がしくて、もっと汗が噴き出してくる。



そうか、夢か。



「バッカじゃない?



・・・あの、ひろしが」






変な夢を見た日、俺は一日中その事ばかりでなにもやる気が起きず授業も全く集中できなかった。その夢はひろしが出てきて、意味深な言葉を言って去って行くだけというわけのわからない夢だった。
まぁ、意味がわからないのなら夢らしいけどな。

友人に放課後遊びに誘われたけど断った。遊びにも打ち込めない気がしたから。そんなのお前らしくないって言われたけど確かに今日は俺らしくない。


「ずっと前から興味がありました」



あれはどういう意味をこめて言ってきたのだろうか、俺はどういう意味をこめて受けとめれば良かったのだろうか。
友達としてさらに興味がわいたのか?それとも愛的なもの?

と、言っても俺は男だ。ひろしも男だ。なんでそんな展開になるんだ、やっぱり友達的にだろう。
まず夢の時点で実際、ひろしが言ったわけじゃないんだけどな・・・。



「たけし?」


声をかけられた。顔を上げてみれば学年トップのイケメンと言われている卓郎の姿。卓郎って本当に顔も整っているし、背も高くて髪を縛っている姿も似合うよな。本当羨ましいよ、中学生かって言いたくなる。
まぁ容姿は完璧で運動も出来て勉強もまぁまぁ出来るパーフェクト人間かと思いきや性格は超残念なんだけど・・・おっとそれは言っちゃいけなかったかな。

「たけし、今日元気ないな。どうしたんだよ」


卓郎も気づいていたのか、違うクラスなのにすごいな。なんでもないって言い返せば嘘だとからかってくる。

かと思いきや嘘だとは言ったが顔は真剣だった。


「たけし、なんか悩んでるとさらに顔が残念になってるからな」

「それ真剣な顔で言う事かよ・・・」

そう俺がため息をつけば卓郎はさっきの真剣な顔が一気に緩み、ヘヘッと笑った。卓郎が笑えば、俺も自然に笑いがこぼれて、一緒に笑ってしまう。

「でも、たけしが悩むなんて珍しいな。どうしたんだよ」

最初と同じ質問、今度は素直に話そう。





「夢の中でそうひろしに言われたのか?」

場所をかえて某ハンバーガーショップで出来事を話せばふーん、と卓郎も考える。俺も今限定のブルーベリーシェイクをストローでかき混ぜなら考えているけど、やっぱりわからなくて。
何故あのような夢を見たのか、何故ひろしだったのか。


「確かにひろしはたけしが大好きだが・・どういう意味でたけしを愛しているか」

「どういう意味って、俺もひろしも男なんだしまだ中学二年だし、あれは単に俺を弄っているのじゃ」


「わかってねーなぁ」

人差し指を立て横にふりながら俺の意見を否定する卓郎。こいつやけに楽しそうだが、本当にちゃんと考えてるのか?

「俺もな、たけしの事好きだからさ」



え?

「や、やだなぁ・・卓郎、お前には美香がいるじゃないか。こんな残念な顔の俺のどこが良い・・・」

「全部ー」

即答だな、オイ。と言うかどういう意味で俺の事好きって言ったんだ。
まぁ卓郎に関しては友達以上微恋人とか言って結局友達的に決まっているけどな、俺達幼馴染だし。いや友達的じゃなかったら禁断だ。


「ほら、ひろしアレじゃない?ひろしって銀髪じゃん、それちょっと気にしてるんだってさ。小さい頃にも珍しいような目で見られたらしいから」

「それとひろしが俺を好いてると言う事にどんな関係があるんだよ」


よくわからなくなってきた気がするのは俺の気のせいか?それともわかっていない俺がバカなのか・・・


「確か俺の記憶が合っていればたけし、お前も幼稚園と言うか俺と初めて会った時から金髪だったよな」

「ま、まぁ・・・」

幼稚園でも小学校でも、中学生でも進学するたびに注意された混じり気のない金髪、苗字も名前も完璧日本人な俺なのでブリーチしてから染めたように思われがちだが生まれた時からこの髪色だ。母さんがハーフで金髪なため、俺も受け継いだらしい。

「それで自分と同じ立場の人が近くにいて嬉しいとかさ」

「なら卓郎も髪赤いじゃん」

「俺は染めたんだよ、生まれつきと途中からじゃ違うだろ」


「じゃあなんで今さらそんな事を?」


俺が突っ込めば卓郎はもっと考えて、結局さぁなと話をやめてしまった。きっと髪色は関係ないだろう。
何故あんな夢を・・・軽くため息をつく。

「ま、嫌われてるよりは良いんじゃね?」

「・・まぁな」

顔を見合わせればまた笑いがこぼれて、二人でクスクス笑う。卓郎と何度笑ってきた事か、こういうなんでもない事で笑いあえるって良いよな。



「そういえば・・なんで夢なのに笑い話で終わらせなかったんだ?」


「えっ」

口に運ぼうとしたナゲットを摘まむ手を止める。確かに、なんでこんなに悩んでるんだろ俺、夢ならなにがあってもおかしくないのになんでこんなに気になっているんだ?


「ひろしさんの事ばかり考えてまさかたけしさん、浮気ですか?卓子さみしいな・・・」

「いつ付き合ってる設定になったんだよ」

俺が苦笑いを見せれば卓郎はまた笑って、でも笑われると恥ずかしくなってくるよ。
卓郎だって前に俺ひろし抱いた夢見たってひろし本人に言って赤面させてからかっていたぐらいなのに。

と言うか原点に戻ると、ひろしに好きと言われたのじゃなくて興味があるって言われたんだった!


「は、恥ずかしい・・・」

「なにがだ?おっ照れてるたけしかーわいー」

なに勘違いしているんだ俺は。興味ってほらアレだ、俺がじゃなくてホモサピエンス的にとかだ!生きている人間に興味ないひろしが初めて生きている人間に興味持ってそれがたまたま俺だったんだよあぁそうだ!!




「たけし、ひろし好きなんだろ」







「なぁぁぁぁ!!?」


俺が声を上げて驚けば回りがざわついて、それを卓郎がニヤニヤ見つめてくる。いきなりそんな展開、じゃなくてそんな話題にするな!
よくそんな事公共の場で言えるな・・・ひろしとたけしってどこからどう聞いても男同士だろ。

「お、お、動揺してますねー」

「だっ大体なんで俺がひろし好きでひろしが俺好きなんだよ!どっちも男だぞ!?オス!
フェメール!!」

「フェメールは女な」


「う・・・うるさい」

卓郎に言い返され力なく俺も言い返すが体の火照りがひどく、落ち着いていられない。

そんな、俺はひろしの事・・好きなのか?


「じゃあひろし好き、嫌い、どっち?」

なんて質問してくるんだ。全く嫌いではない、どちらかと言わなくても好きだが友達的に決まっている。当たり前だ。


「好き、だけど?友達的に」

「ほら見ろーな!な!」

嬉しそうにするなっ!さっきから友達的にって言ってるだろ、もう・・・


「じゃあ卓郎はひろし好きなのか?それとも
嫌い?」

「あ、俺ひろし嫌い」


即答かよ!しかも嫌い!

「うそうそ、ひろし大好きに決まってんだろーひろしってアレだろ、●畜眼鏡。眼鏡こっちから外して犯されるのも悪くない」

「はぁ・・・」

「美香はもちろん好きだろ?だって俺の妻だからな、将来ビック●ディ目指そうかと」

みんなと仲良くする事は良い事だが、その、やっぱり色々と残念だこのイケメン。まぁそんな所が卓郎らしくておもしろいんだけどな。

「で、たけしは俺の嫁。同居して一緒に・・」

「わ、わかったから話ずれ過ぎ!」

俺が話を戻そうとすれば卓郎はチェッと残念そうにして、ポテトをたくさん摘まんで一気に口に放り込む。

「で、やっぱたけしはひろし好きなんだろ?」

だから・・もう、


「友達的にって言ってるだろ!ここ重要!テストに出ます!!」

「おやおや、俺は一切恋愛的にとは言っていないし友達的にと言いかけたんだけどなー」


「な・・・っ」


しまった、気が動転してわけがわからなくなってきた。なんなんだ、ひろしは俺の事が好きだから興味を持ったのであって、俺もひろしが好きで、でも友達的であって
でも何故夢にひろしが出てきてちょっと意味深な事言っただけなのにそれに俺が悩んだのかって?それは俺が恋愛的にひろしが好きで・・・??


「ひろしとセッ●スすれば全てわかるはずだ!」

「おわあああああ公共の場しかも食う場所で●ックスとか言うなああああああ」


気づいた時には回りから辛い視線を浴びていて、ヒソヒソとなにか呟かれていた。もう長いは出来なさそうだ。
卓郎はまだヘラヘラしていたが俺がもう限界だ、まだ飲みきっていないシェイクを片手にゴミを捨て店を後にした。

「なんで急いで店出ちゃったんだよー」

「卓郎が自主規制な発言したからだよ!!」


しかし外はもう暗く、帰った方が良い時間をまわっていた。だいぶ話し込んでいたみたい
。卓郎と話すのって楽しいしな。


「じゃ、今日家でひろしの事をもっと考えて明日心情を教えてくれよなー彼氏さんのな!」

「だ、だからっひろしは・・・」



「友達的に大好きなんだろ?」


じゃあまた明日、筋肉のない俺の平べったい胸に拳をぶつけ卓郎は家路へ向かって行った。
別れの挨拶をしても声にならないほど小さな声で、かすかに震えている。何故だ、ひろしの事をそう考えていない、はずなのに、喉の奥が熱い。



「たけしくん」




「え?」


聞き覚えのある声。振り向いてみれば、彼の姿があった。


俺の悩みの原因の、彼が。


「ひろし!?」

驚いて声をあげればひろしはニコッと笑い、ごきげんようと近づいてきた。背中には学校指定のリュック、右手にはキャリングケースがある。塾か稽古帰りだろうか。


「ピアノの稽古帰りでして、ちょうどたけしくんがいましたので声をかけたのです」

「そっか、いきなりでびっくりしたぜ」

「フフ、すみません」


ひろしが俺と並べばまた歩き始めて、夜の道を二人で歩く。今までひろしと帰ってもくだらない話をして帰っていたのに、今日はもうそんなんじゃない。
完全にひろしを意識してしまう。

「たけしくんもこんな時間までなにをしていたのですか?」


「あ、あぁ卓郎とヤックで話してたらこんな時間になっちゃってさ」

俺がそう言えばあぁ、とひろしが納得しまた微笑む。

「たけしくんは本当に卓郎と仲が良いですね」


なんか、ひろしのその言葉が痛い。ひろしは俺の悩みの事を知らないはずだが俺にはすごく悲痛に聞こえる。


僕じゃなくて、卓郎なのですね。


そう聞こえてきて、

「確か幼稚園からの仲でしたっけ?羨ましいです。僕、幼稚園は外国でしたので幼なじみと言う幼なじみがいなくて」


ごめん・・・本当に辛くなってきた。
別に、ひろしの事嫌いじゃないよ。むしろ好きさ、大好き。卓郎も、美香も。


だからさ、ひろし


「お、俺!」

「・・はい?」


「俺はひろしの事、その」


嫌いなんかじゃない。嫌いなわけがない。




「大好き・・・だからさ」



二つの歩みが止まる。暗く、静かな住宅街に俺の声が響けばひろしはずっとまっすぐを見ていて、沈黙している。

「ああっいや、さ?アレだよ、友達的に!俺は友達的にひろしが大好きなんだよ、な!?」

自分がなにを言っているのかわからなくなってきて、焦って弁解する。するとひろしはやっとこっちを向いてくれて、俺をジッと見つめてきた。
ヤバイ。ひかれた。
あのひろしがこんな沈黙して、絶対変態だって思われた。
だっておかしいから、俺とひろしが。そんな関係、弁解も嘘って思われているかも。


「たけしくん」

やっとひろしが口を開く、いつもと同じ落ち着いた声。そんなひろしの声がなんとなく冷ややかに感じるのは俺だけだろうか。




いや、逆だった。




「手、繋いでも良いですか?」


突然の要望、頭の中がめちゃくちゃになっている俺はわけがわからずイエスと答える。そう答えればひろしがまた微笑んでゆっくりと俺の手を握った。

冷たい空気が漂う夜の外、ひろしの手は温かくもなく冷たくもなかった。ぬるいと言う表現が一番合うがそんな事を言ったら失礼だ。


そんなひろしの手は温かくない代わりにとても柔らかかった。
湿ってもいない、乾燥してもいないちょうど良い肌触り。いつまでも触っていたい。

「大丈夫ですよ、ここ人通り少ないですし街灯もあまりないので回りの人には気づかれませんから」

「う、うん・・・」


しばらく手を繋いで歩いた。完全に調子が狂って会話はあまり弾まなかったけど、なんて言うんだろ



最高に幸せだった。



「あ、僕家向こうなのでここで」

ひろしがゆっくりと手を離す。手を繋いで歩いた時間はどれぐらいだろう。数分のはずたがすごく長く感じた。


「そうだったな、じゃあまた明日」





「たけしくん」


体の火照りとまだ残るひろしの手の感触で自分が緊張しているとばれたらいけないので足早にその場を去ろうとしたが、ひろしに止められた。
なんだよ、やっぱりひいたのか?

「その、ありがとうございます」

手を繋いだ事か?


「僕もたけしくんの事、大好きですよ」


クスッと笑った表情には裏が全くなさそうで、ひろしは素で喜んでいた。


「そっか・・・もちろん俺も友達的にひろしが大好きだからな」

「フフ、友達的・・ですか」


「え?」

つい聞き直してしまう。

「今なんて」

「なんでもないですよ」


今度のひろしの笑みにはなにか思いが込められていた。どういう意味だったのか。
友達的でためらった、と言う事はひろしは俺の事を・・・


「たけしくん、




ずっと前から興味がありました」


ではまた明日、卓郎の時と同じパターンで挨拶出来ないままひろしと別れた。


「今、なんて・・・」


夜の家路に独り言がポツリ。なにこれ、デジャブってやつ?
さっきのひろしのセリフひろしの背中、どこからどう聞いても夢の時と同じだ。あのセリフを言ってから去って行く、全く同じだ。


「これ、卓郎に話すべきなのかな」


まぁ今考える必要はない。お風呂の中でじっくり考えよう。早く帰らなきゃ母さんがご飯作って待っているはずだ。

小走りに家路を急ぐ。別にそんなに急がなくても良いのに急ぐ。手を握りしめてみればまだひろしの手の感触は残っていて、もっと体の火照りと焦りが増す。



なんて言うか、

すごく嬉しかった。




「ずっと前から興味がありました」


ひろしのこのセリフの本当の意味はきっと誰にもわからない。正直、俺にもわからなかった。
でも良いんだ。セリフの代わりにわかったものがあるから。


「腹減ったな・・・」




お互い両想いって事が。
友達的に、


恥ずかしいから終わろう。

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あきゅろす。
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