キミだけを見つめたくて
6
喫茶店を出た恒司は時計を見た。
時刻は18時30分を少し過ぎた頃。
帰るには少し早い。
「…少し歩く?」
気付けばそんなことを口にしていた。
「う〜ん…いや帰る」
そう答える碧理に恒司は懲りずに、じゃあ途中まで一緒に帰って良い?と尋ねる。
「いいけど…すぐ帰るよ?」
「わかってるって」
そう言うと二人は駅に向かって歩きだした。
早く、でもなく
遅く、でもない
互いが互いに合わせるような歩調で歩いていく。
「そう言えば、この間りんちゃんがね…」
りんちゃんとは碧理の幼馴染みで今は隣町に住んでいる子らしい。
らしいと言うのも碧理から話を聞くだけで、直接会ったことは無いからだ。
「…なんだって」
「へぇ〜面白そうだな」
そんな話を聞いてるうちに駅についてしまった。
「…ちょっと待ってて」
そう言うと恒司は切符を買いに走る。
普段、恒司はこの路線に乗らない。
「乗らなくても良いから
」だ
改札を通り、ホームに降りる。
ちょうど電車が来たところで、2人はその列車に乗った。
[*前へ][次へ#]
無料HPエムペ!