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「ええい!こんな時に」

フレイは速度を上げて上昇すると、フレアを大量にばらまいた。

すぐに機体に制動をかけて旋回、攻撃を仕掛けた敵機に向けて機関砲を放った。

数発の弾丸を食らった敵機は煙を吐いた、しかし、撃墜は免れたようだ。

追い討ちをかけている暇は無い、フレイはラプターのアフターバーナーを点火した。

「まずいな」

フレイは計器類にざっと目を通してつぶやいた、ここまでの戦闘で、弾薬が底を尽きかけてしまっていた。
最後のAAMはさっき使ってしまった、残っているのは20ミリ機関砲とその弾が11発。

燃料も帰りの距離を考えればあと数分が限界だろう、こんな状態でできるだろうか?

――いや、やるしかない!

フレイは自分自身を叱咤した、それに今までだってたくさんの修羅場をくぐり抜けてきたんだ。

《射程圏到達まであと30秒!君達を信じている!クロノス隊》

フレイはアフターバーナーを消化し、機体に制動をかけてB-2の後ろに位置をとった。

敵機との距離は20メートル程度、フレイはレティクルの中心をエンジンに合わせ、引き金を絞った。

11発の弾丸は1秒もかからず撃ち尽くしてしまう程度の量でしかない、その一瞬の時間が、永遠のようにフレイは感じた。

機銃弾数が残り5カウントを刻んだ瞬間、急激に機体が揺れた。

次の瞬間には機首が若干下を向いていて、不安定に揺れ、機体が尻を降った。

トリガーから指を離す前に、最後の弾丸がかなたに消えた。

「くそっ!クロノス1機関砲の残弾無し!ターゲット撃墜ならず、ターゲットは撃墜ならず!」

フレイは機体を安定させる事を忘れ、拳をキャノピーに叩きつけた。


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