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《こちらオーシア軍所属空中管制機サンダーヘッド、A-42地点を飛行中の機、所属と目的を知らせよ》
フレイがアリシアと共に、B-2編隊が進んだ航路を音速巡航していると、なかなかの美声がレシーバーを震わせた。
《繰り返す、こちらサンダーヘッド
、A-42地点を飛行中の飛行隊、所属と目的を知らせよ》
「了解サンダーヘッド、こちらは第8航空師団第25戦闘飛行隊クロノス。
隊長のフレイ・ジャックハート中佐だ、戦術核を搭載したB-2爆撃機編隊の迎撃を任されている」
《了解クロノス隊…貴君のコールサインは?》
「キャバリアだ、サンダーヘッド」
「私はアリシア・スタンフォード、コールサインはメシア」
《了解キャバリア、メシア、これより君達の管制、支援を担当させてもらう》
レーダーの左端に、サンダーヘッドと思われる友軍の航空機反応が表示された。
同時に、空に小さな光点も確認できた。
「キャバリアよりサンダーヘッド、貴機と思われる機体をレーダー、肉眼で確認した。その綺麗な声でサポートを頼む」
「メシアよりサンダーヘッド、支援を頼みます」
フレイはサンダーヘッドの光点を見て微笑んだ、こんな氷の海の上にまで、仲間がいるんだから。
《ああ…任せてくれ…》
サンダーヘッドのまるで機械のように冷静な声に、感情の色が混じった。
《君達を見ていると、なんだか彼等を…ウォードック隊の事を思い出す》
「サンダーヘッド?」
《見ていてくれ、チョッパー、アルヴィン・H・ダヴェンポート大尉。
私はもう迷わない、そしてこの戦争を終わらせるんだ》
このサンダーヘッドにも、何か後悔するような出来事がこの戦争で行ってしまったのだろう。
ウォードックを知っていると言った彼なら、おそらく、真実を知って殺された仲間の事が、悔しくて仕方がないんだと思う。
「サンダーヘッド、ウォードック隊がラーズグリーズだって噂が立っているが、あれは事実なんだろ?だったら、この戦争が終わったら会いに行けばいいんだよ」
フレイにもサンダーヘッドの気持ちが痛いほど良くわかっていた、多分、この戦争で仲間を失った奴はみんなそうだ。
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