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「ちぃっ…しつこい!」
フレイは機体を左右に振って、ミサイルを回避しようとしてみたが、レーダーロックを外せずにてこずっていた。
「敵機を視認、キャバリア機に向けて急速接近中!」
「舞、援護しろ」
ミサイルを振り切ったヴォルフが舞を連れて、新手の敵と交戦状態に入った。
「メシアFOX2」
アリシアがサイドワインダーを先頭の機体に発射した、ミサイルは左翼から襲いかかるがバレルロールで難なく回避されてしまう。
『思い上がったオーシアの猟犬達よ、こんなところで何をしている?』
5機で編成されたタイフーンが、フレイに向けて一斉に突撃した。
敵機の方が高度が高い、降下して回避するしかないがそれでは後ろを取られてしまう。
フレイはスロットルレバーに手をかけ、パワーを下げた。
ロールと同時に機首を下に向け、すぐさま操縦桿を引き続けた。
眼前を空が流れ、雲海が見える、高G旋回で訪れる厳しいGに耐え、フレイはスロットルを叩いた。
タービンの回転数が上がり、旋回時に生み出した加速力が機体をさらに押し出す。
高度を上げて逃げるフレイを引き裂こうと、敵機編隊は機銃を発射しながら追いかけ始める、レーダー照射を受け、ロックされてしまった。
『傲慢がもたらしたこの世界に鉄槌を下す、我等ベルカの邪魔をするなあっ!』
その声と同時にミサイルアラートが鳴り、フレイは全力で旋回した、レーダーに敵の発射したミサイルが表示され、自機を示す中央線に向かっているのがわかる。
シートに体が強く押し付けられながらも、操縦桿を握る手と、ラダーを操作する足に力を込める。
旋回により目標を捉えることに失敗したミサイルが、ノズル後方を通過、当てもなく消えた。
《こちらバルスルクコントロール、大統領の声明が発表された、今転送しよう》
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