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「くそっ!!」

フレイはラダーペダルを踏みつけるようにして蹴り飛ばし、スロットルをさらに下げ、機体を大きくロールさせた。

後方に機銃を撃ちかけながらしかけて来たベルクート達が抜けていく。
しかし、今度は側面から新たに2機のベルクートがしかけて来る。

その攻撃をやり過ごすと、今度は主力が一撃離脱を行う。

「このっ!!」

フレイは強引に機体を旋回させ、遊撃を行う2機のベルクートに格闘戦をしかけた。

『敵が罠にかかったぞ』

敵の主力がフレイの後ろを取り、機関砲で攻撃をしかける。

『敵のパイロット、聞こえるか?』

ラプターのスピーカーから、耳障りな声が届いた。

「その声はっ!?」

『ほう、君か。撃たれた肩はもう治ったかね?』


ねっとりとしてからみつくような声、かつてダリス島でフレイ達をハメようとして、捕らえられた男。

「デヴィット…デヴィットボーデン!!」

『今は上級大佐だよ、フレイ・ジャックハート“元中佐”。
君のお仲間達はツメが甘い、私の脱走を簡単に許すとは。しかし、君達は死んだのかと思っていたよ、君の死亡は私の組織への貢献に充分に活用させてもらったよ』

フレイは急旋回して、ボーデン機に単騎で挑んだ。

『一度は捨て駒のように扱われた私だが、今では組織に必要な人材と見なされている。
私の椅子を守るために、君には死んでもらわなくてはならない。
裏切り者の名誉艦長共々に!!』

互いにループを描き、回り込み、ひねり込む。

フレイの放った機銃弾が主翼を穿ち、ボーデンはラプターの水平尾翼に風穴を開ける。

一度離れ、2人が正面から衝突する。

―その時だった。

『アグニバス被弾、正面SAM AAガン全門使用不能!』

フレイは一瞬視線をずらした、アグニバスから黒煙が数本立ち上っている。

『レーダーに反応、敵戦闘機、本機に向けて急速接近中!』

『敵戦闘機からミサイル発射を確認、数2!』

『迎撃不能!迎撃不能!回避間に合いません!』

機体下部の迎撃機発進用の滑走路を抜け、ミサイルが着弾する。
近くの戦闘機や機材を爆発に巻き込み、アグニバス内部で火災が発生する。

アグニバスから噴く黒煙を飛び抜けて、奇襲を成し遂げた機体が姿を表す。

『機種特定F-15S/MTD』

『くそっ!!3番機!!護衛を連れてアグニバスの援護に向かえ!』

ボーデンが焦りを伴った声で指示をあたえ、敵の一部がアグニバスに引き返す。

『後部SAM、攻撃開始!』

アグニバスの後部から蛇のようにミサイルが一斉に発射され、イーグルに向かって伸びていく。

「ふふっ」

しかし、それらは一発たりともイーグルにかすりはせず、かなたへと飛んでいく。

「今だ相棒!!耳をふさいでろ!!」

重盛が最大出力でアグニバスから離れ、高度を下げる。

何か遠くから不可視の何かが迫る感覚が無意識的にフレイを呼びかける。

空が割れ、轟音が轟く。

コンソールに浮かび上がる文字。

【目標の撃破を確認】

巨大な影が、4つに分裂する。
鉄が砕け、細かな粒子が広がる。
アグニバスの巨大が風にふかれた木の葉のようにひっくり返り、爆発した。


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