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「やっと船が動き出している」

見れば港には数隻の艦が残っていた。
それらはケストレルの進路妨害にならないためや、撃沈した艦に進路を塞がれ、身動きの取れない艦だった。

そして、支援の無い個艦は対鑑ミサイルの直撃を受けて、一隻、また一隻と撃沈して行く。

「3時方向から敵機接近」

「無線が錯綜している、一体全体誰から見て3時方向なんだ!?」

戦闘は続いて行った。
そうしてようやく、敵機を全機撃墜した。
新たに向かって来た敵増援部隊も形勢不利を悟り、撤退して行く。

「あの波間に浮いているのは…人!?」

「フレイ!」

「あぁ…」

それはまずい後景だった。
火を噴いた敵機が墜落するまで、あの波間を漂っていたのは人の顔だった。
それもたくさんの。

撃沈した戦艦から投げ出された人間が、力無く浮いていた。

「空母が外界に出る、頼むぜ誰かよう…あいつを無事に逃がしてやってくれ」

あきらかに調子を落とした声が聞こえた。
誰の声かわからないが、それはフレイも同感だった。

《こちらは空母ケストレル艦長、脱出に成功した各艦おめでとう。これより小官が指揮を執り、臨時戦隊を編成する。
前方に敵艦隊の封鎖線がある、これを突破し、安全な海域に脱出しよう。
諸君の健闘を祈る》

《上空の味方機、援護を頼む》

各部隊が三方向に散開する、海の向こう、波の上にチカチカと光る影。
ユーク海軍の戦艦が待ち構えている。



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