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「まったくとんでもねぇ物を…俺達は運んでいたのか」

輸送船から発見されたのは、例の殲滅戦闘用戦闘機だった。

バーネットやスターシアを殺した機体とは若干形状が違うようだが。
他にもABL兵器や散弾ミサイル等が大量に押収された。

すでに戦闘機がラプターしか無いガラガラな空母の格納庫は、押収品で一杯になった。

重盛はADF-01 FALKENと呼ばれる戦闘機の中にいた。
重盛はコクピットに入り込み、隅々まで調べていた。

その隣りではX-02 Wyvernのコクピットをフレイがいじりまわしている。

「どうだ相棒、そっちの様子は?」

試しにと入れた電源に、コクピット内部は蒼色に光り、新型コンソールに命が宿った。

コンソール左上部の液晶画面に、重盛の姿が写し出される。
ほぉ、カメラ付きかぁ。

フレイは感心した。

「このCOFFINシステムは凄いなぁ、真後ろ、真下、360゚見渡せる」

重盛が皮肉の混じった声で告げる、おそらくこの機体で敵を倒す事を想像しているのだろう。

こんな機体は現実味が無く、ひどく思い上がっていると思った。

「そっちはどうだ?
いじりすぎて壊すなよ?」

フレイは可変翼で遊んでいた。
ガチャガチャと動く細い主翼に乗っかっている整備士が、サーフィンの格好でバランスを取っている。

フレイは可変翼レバーから手を離した。

「可変翼はトムキャットと一緒で任意に後退角度を変更できる」

「後は…飛ばしてみるしかわからないか」

フレイは1つ背伸びをした。

「なあ相棒、お前はコイツを相棒にできるか」

隣りで重盛が機体装甲を手のひらで叩いた、バンッと音が反響する。

「…まさか、大事な相棒をこんなもんにできねーよ」

「だよな」

重盛は当然だと言いながら頷き、乱暴にコクピットから退いた。

「さぁ〜て、こんな戦争、さっさと終わらせてしまおう」

ユークトバニアに届く事の無くなった機体から離れたフレイと重盛に、輸送船団長が頭を下げた。

自分達が何も知らされずにこんな物を運んでいたなんて知らなかったようだ。

無理も無かった。

《全パイロットはブリーフィングルームへ。くり返す、全パイロットはブリーフィングルームへ集合せよ》

「よし、行こうぜ相棒」
「りょーかい」

フレイは船団長の肩を軽く叩き、持っていた機体マニュアルを投げ捨ててブリーフィングルームへと足を運んだ。



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