Ⅲ
「船を棄てる、このままではやられるだけだ」
「逃げるな、この腰抜けが！」
「艦長が逃げた？どういう事だ！？」
極度の緊張状態で海は発狂寸前だった。
迎撃を急ぐあまり目標数値を誤って入力し、友軍誤射も頻繁に起こっている。
《ケストレル上空から敵機接近中》
「！？」
フレイは空を見上げた。
小さな光点が六つ、高速で降下していた。
「クロノス２、ケストレル上空から敵機だ!」
「メシア了解…FOX3FOX3」
「キャバリア、FOX3」
フレイは兵装を切り替え、ミサイルを発射した。
機体腹部のウエポンベイに格納されていたAIM-120AMRAAMが目標に向けて突進する。
発射された中距離ミサイルは慣性誘導により飛翔すると、アムラームに搭載されているアクティブレーダーホーミング機能に切り替わり、終末誘導により敵機を撃墜した。
「湾口まで３マイル」
あと少し、あと少しでこの狭い港から出られる。
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