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幸い、フレイに怪我は無かった。
燃えたままの鉄屑がぶつかったため、手と背中に切り傷と火傷をしてしまったが、命に別状はない。
そのフレイの頭上を、全長200mという、並の空軍基地の敷地、半分はあるかとゆう巨躯が低く唸りながら通過して行く。
翼端から翼端までの長さは国立競技場並みで、推定は500m以上、複数の巨大バーニアが、その巨躯の巡航を可能にしていた。
すでに基地上空は、ミサイルの白い排気煙と、機銃弾の残す残像と、爆発の光で満ちていた。
「あれは…ベルカで見た…」
基地に脅威を降り注ぐ、巨大な影を見上げてフレイは確信した。
そのアグニバスの周囲を、6機の戦闘機が飛び回る。
鶴の首を思わせる独特の形状、見る者に畏敬の念を与えるような前進翼、カナード翼を搭載したその機体の名は「Su-47」愛称はベルクート。
ユークトバニア軍も、そしてオーシア軍ですら採用していない機体だった。
驚異的な運動性能を持ったベルクートは、旧式と言ってもいいハリアー部隊を根こそぎ叩いて行った。
アグニバスを守るようにして飛ぶベルクートは、こちらが打ち上げるSAMやAAガンをひらりとかわし、変わりに対地ミサイルで迎撃兵器を破壊してしまう。
そして、当のアグニバスは、その絶大な火力でハリアーを塵のように葬り、滑走路に絨毯爆撃を行った。
さらにその装甲は、AAガンやSAMの直撃を受けてもまったくの無傷で、強力なECMでミサイルの攻撃をほぼ無効にしてしまっていた。
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