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高度が上がるにつれて、空気抵抗は弱くなり、機体の速度は上がって行く。

「高度37000フィート…」

フレイはコクピット内の気圧、残燃料 、ハイドロを確認した。

反射した熱すら届かない、大気圏。

あと少しで宇宙に届きそうな、空と宇宙(そら)の境界線。

冬も近いそこは非常なまでに寒かった。

「高度…39000フィート…」

通常の機体なら到達する事のできない空の極み、そこにフレイはたどり着いた。

しかし、いくらアフターバーナー無しで音速飛行が可能なエンジンにも限界はある。

すでにラプターはガタガタと振動し、上昇高度の限界を伝えていた。

「高度…41050…」

その瞬間、HMDにSTALLの文字が赤く点滅し、アラートが鳴り響く。
フレイは落ちていた。

一瞬、耐え難い強烈なGに襲われ、世界が逆転していた。

そのまま重力に絡まれ、落下を始める。

機体はエンジンが出せる速度の限界を超える、振動がいっそう激しくなり、ラダーペダルが効かない。

「……くそっ…死ぬのか…」

下からは、フレイをしつこく追い回す敵が食らいつこうと必死に登っている。

「…オーライ…やってやる…なーに勝手にピンチになってんだか、平和ボケしていた罰かな…」

フレイは自分に追い討ちをかけるかのように、アフターバーナーを点火した。

そのまま向かって来るイーグルに向けて直進する。

ガンレティクルを表示させ、イーグルを真正面から捉える。

「…喰らいなよ…」

フレイはトリガーを押した。

敵のイーグルからも機銃弾が打ち出される。

そして、2機は交錯した。



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あきゅろす。
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