3
「なんだ!なにが起こっている!?」
フレイは機体を何度も捻り、敵の攻撃を回避していた。
「クロノス2メシア、聞こえるか!?」
「………………………………」
「くそっ…無線は無理か…」
フレイは操縦桿を握る手に力を込めた、この速度ではひねり込みはできない。
しかし、ラプターの運動性能をもってすれば、視界から突然消えたような機動も出来なくもない。
深呼吸の後、フレイは操縦桿を引き、スロットルを戻した。
「ぐ……」
次の刹那、機体は宙返りしていた。
視界がぶれる、息もできない。
胃が裏返り、中身が溢れかえる。
翼と機首からはベイパーが撒かれ、空に鋭利な雲が引かれる。
機体が360°回転した瞬間、フレイはスロットルを叩いた。
同時に、ミサイル発射ボタンを押した。
機体のインテーク下部に付いた小さなウエポンベイが開閉し、ミサイルが飛び出す。
「クロノス1 FOX2!」
放たれた2発のミサイルは、追うべき相手を見失った哀れなイーグルのノズルに突き刺さる。
―爆散。
「どうだ!…クソッ…」
呼吸困難と吐き気から立ち直ったフレイは、すぐに操縦桿を倒した。
旋回したフレイの機体を金色の槍が横切る、それは無誘導で発射された対空ミサイルだった。
「こいつら…エースか…」
すかさずボタンを押し、機体を急上昇させる。
ありったけのフレアとチャフをばらまき、フレイは自機のレーダーをシャットアウトした。
そのまま雲の中に突き進む。
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