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「そうだ相棒、確か今回の任務は新米共の護衛…だったよな?」

「ああ…新米をハイエルラークまで誘導、補給を受けて基地に帰投。そこで…」

「セント・ヒューレット軍港に増援命令が出たのか…」

「開戦は避けられないでしょうね…」

ノンは格納庫の壁によりかかると、腕を組んだまま空を見上げた。

カモメたちの黒いシルエットが小さく飛び交う。
空戦は下から見ればああなのだろうか?

その光景を眺めるノンの横顔は、避けられない運命を受け入れたかのような、悲しい表情をしていた。

「この島で行われる、全ての実験がもうじき終わる。
…あと数日で戦術制空攻撃隊計画も完了、第8航空師団の役目も終わる。
クロノス隊もアドラー隊も解体され、どこかの航空隊に派遣されるだろう。
…そうすれば、この戦争に参加させられ、この島で過ごした連中とは二度と会うこともなくる」

そう言ったのはノンだった。

「悔しいが…この島の連中のほとんどが前線に投入されるだろう、エースパイロットが何人もいるんだ。
奴等が見逃すはずがない…」

そうしてノンは、溜め息をついた。

この時フレイは、ノンが珍しく落ち込んでいる事を、寂しいからだと思っていた。

しかし、フレイが本当の意味を知るのは、もっと後になってからだった。

それを知った時には、もう遅かったのだが…



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