小説 フェアリー隊
1
翌日。
早くも謁見が認められ、重盛はワイバーンの格納庫から愛車を取り出していた。
「…まさかとは思うけどそれで王都に行くとか言わないわよね?」
丁度、車を出したところで欣子がバインダーを片手にワイバーンをチェックしていた。
「いや、そのつもりだけど?」
「…っと言うか、それも持ち出してたんだ」
重盛の愛車はシルビアと呼ばれる車種で俗にS15と言われるシルビアシリーズの最後の車種だ。
色はホワイト。
純正エアロパーツのリアウイングを付けている。
外見こそは決して派手ではない、町中を走るスポーツカーそのものなのだが、この車はもちろんタダもんではない。
その話しは後で分かることになる。
「俺の愛車なんだぞ?そう簡単に置いていくかよ」
笑いながら、車を止め降りる。
「なんてな。本当は置いていくつもりだったんだが、勝手に積まれてたんだよ。」
国王にな、っと付け加えながら、助手席の扉を開ける。
「少し乗るか?」
少し考え、うんと頷く欣子。
「ちなみにどちらまで?」
乗り込む欣子を見ながら聞く。
「基地本部まで。」
了解っと言って扉を閉める。
運転席に座りドライブグローブをはめる。
「変わらないね。」
「…まぁな」
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