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音夢小説*短編*
初雪 ニッキー夢
初雪



土曜日のPM6:00…私は自転車に乗ってある場所へ…。


向こう側から、カップルが歩いてくる。

彼女の手は彼氏が、きゅっと包んでいる。

羨ましいな・・・。

素手で、風を切る手でハンドルをきつく握り締める。


でも、いいもん。

私もこれから、温かいところいくから。

私はある店の前で止まる。

この扉を越えれば、彼が居る。


そして、扉に手を伸ばし、扉を開けると

音の波が襲ってきて、赤や黄色や橙色の光があふれる。

遠くのDJセットから、声が聞こえる。

「YO!!シエラちゃんvv」

「やっほー、ニッキー♪」

私は、人ごみを掻き分け、彼のもとへ。



「シエラちゃん、寒かったでしょ?」

「ん。だけどココに来て温かく…ううん、暑くなったよ。」

私はそう言ってコートを脱ぎ、預けてきた。

私が戻ってくると、彼はじっと私の身体を見回す。


「最近、シエラちゃん踊らないね。
 踊ってYO!!
 久し振りに、シエラちゃんの谷間チラリとかケツプリ…みてぇなぁ。」

ニッキーは、下品に笑った。

「あは、ニッキーってば!」

「冗談じゃネェって!
 俺、そのために来てるようなモンなんだぜぇ?」

「えぇ〜本当ぉ?」


いいの。
踊るとあなたが見えなくなる。
スクラッチしてるあなたが、本当に好き。

モチロン違うアナタも大好きだけど。


「ホントだって!」

「じゃぁ、一曲だけね♪
 それじゃぁ、あの曲にしてv」

「シエラたんの頼みとあらばv」

彼はグラサン越しに、ニッコリと笑った。




ニッキーが見えるところで、踊る。

スクラッチしてる、複雑なスイッチを押す。
そして、目が合う。
彼は私をニッコリと見守る。

あぁ…なんて素敵なの。

彼は回りに「変態、変態」いわれてるけど(まぁ、本当だけどさ)
ちゃんといい所もあるの。

見た目はPLAY BOYっぽいけど、本当に愛を知れば愛してくれる。


彼に愛されたい。
愛されてる女の子は羨ましい。
きっと、一生守ってくれる。


「只今〜、どう、満足した?」

「んーv相変わらず、良いお尻&胸してんね〜v
 ていうか、大きくなってる〜、誰かと寝た??
 兎に角目の保養、目の保養vv」

「何処見てんの〜。」

「俺は、シエラだけしか見てねぇYO!」

「ん〜。」

「あ、嘘だとおもってんだろ。」

「あは。」


ただ、あなたを信じるまで時間がかかる。


「で、誰かと寝たのかYO?」

「寝てないよー、あったりまえじゃん。」



ニッキーは、それを聞くなり、大げさにホッと溜息をつき
「もう一回踊ってv」といった。

「もう、お腹いっぱいだもん。
 一曲だけって言ったじゃーん。」

「なぁー、頼む〜
 シエラちゃぁーんvv」

「やーだ。」

「あ、シエラちゃん!
 じゃぁ、スクラッチやってみない?
 DJセットで、ちょこっと遊んでみねぇ?」

彼は、指をぱちりと鳴らして、私にそう言った。

「え、まぢ…。
 でも、やったこと無いし
 ニッキーがやった方が、格好良いよ。」

「だーいじょーぶだってv
 最近は女の子がやっても、カッコイイYO!!
 それに、やり方なら、俺がおしえちゃるv」

「私、物覚え悪いよー。」

覚悟しろよ、と目線で訴える。

そんな私の目を見て、にっこりと笑う。

「OK,OK!
 手取り足取り、腰取り教えてア・ゲ・ルvv」

「わー…やらしい。」

「AH‐HAHAHA!!」

彼は、豪快に笑う。

でも音の波は途絶えることなく、私達を包み込む。


「まず、解体」

「かいたい?」

「曲をその1曲に含まれている構成要素以外は使わずに
 まったく違う曲に作り替えるコトさ。」

「へぇ〜。」

「例えば、Fuck youってやるとすると…」

ニッキーはDJセットに向かってそこだけ、切り替える。
キュルっと言うこすれる音で、音がまったく違う。

「と、こんなカンジ。
 ハイ、イヴちゃんv」

「おぉ、凄いね、えっと…」

「こうやって…そう。」

彼が手取り足取り教えてくれる。

当然、体が密着。

すごく体が熱くなる。





「うっぁ!?」

「どうかしたの、シエラちゃん?」

「今何時?」

「ん…12:30くらい…」

「まじ!?」

そろそろ帰らなきゃ、明日遊ぶ約束してた〜!!

「そろそろ、帰るね!
 ありがとう、ニッキー!!」

「シエラちゃん、待って!!」

彼が、私を呼び止める。

「何?」

「一緒に帰ろうぜ!」

「え、うん…でも私、自転車だけど…」

「お店に置いといて平気、だから一緒に歩いて帰ろうYO!
 送ってくから…。」

「…うん!」







「あー、耳が中々聞こえない。」

「ハハ、そのうち慣れるYO!!」

私は、踊る為、露出度が高い服の上にコートを羽織っているだけ。
しかも、温かい所から、出てきた為かなり寒い。

「寒ーい…;;」

「帽子とヘッドフォン…いる?
 少しは温かいYO?」

「それじゃぁ、ニッキーが寒いでしょ?」

「ん、大丈夫だってv」

そうじゃなくて、手を握って欲しいの。
言葉が口を突きそうになる。

「ううん。大丈夫v」



ニッキーは私の手をそっと握った。
彼の手は暖かかった。

「え…?」

「シエラちゃん、手冷たい…。」

「あはは…」

ニッキーは手を持ち上げ、ちゅっと手の甲にキスをする。

それだけで、私は体が熱くなる。

「ニッキー…?」

「ごめんな、気付いてあげられなくて・・・」

「ううん!!ニッキーが悪いんじゃないよ」

「俺って、気遣いたりねぇなぁ…。」

「違うってばぁ!!」

彼はにこっと笑うと、手を握って歩き出す。

「…!」

「こうしてれば、大丈夫だよね?」


「ニッキー、大好き…。」

ずっと心に秘めていた、言葉。

彼は、こちらを向いて目をまんまるくしている。

「シエラちゃん…。」

「ぅ…ニッキーが…好きだったの…前から」

ニッキーは空いてる手で口元を抑える。

「シエラちゃんから告白してくれるなんて…
 俺の事なんて、眼中に無いと思ってた…。」

「ニッキー…私の方こそ…。」


ニッキーは私の事を抱きしめる。

「!!ニッキー!?」

「シエラちゃぁんvv
 それじゃぁ、俺ら両想いじゃんYO!!
 やった、やったーvv」


決してロマンチックではないけれど…。

そんな恋に憧れる。

私も彼の首に手を回して、抱き返す。


「ニッキー、大好きv」

「俺もだよ…
 なんか、馬鹿馬鹿しい壁だったな。」



お互いに距離をとっていた。

本当に馬鹿馬鹿しいなぁ。

笑った。

「じゃぁ、これから二人で熱い事する?」

「もう…キスまでならね」

「物足りねぇYO〜
 それ以上の事しようYO〜!」

「馬ー鹿。
 それに、私は明日用事があるので。」

「ふーん…じゃぁ、今度のお楽しみ…v」

彼は、ニヤニヤ笑って私を見下ろす。

「ガッカリするから、妄想は控えてよね」

「大丈夫、大丈夫v
 俺の妄想って結構正確だからv」



初めて彼とつないだ手。

とてもあたたかい。



この季節、独りは寒いね。

でも、二人だと温かいよ…。





すると、ちらちらと白いものがふってくる

「あ…雪。」

「寒いと思ったら、やっぱり雪かぁ。」

「今年、初雪じゃない?」

「確かに…」

私はきゅっと彼の手を握る。

「シエラちゃん」

「何?」

ちゅ。

「さっき、して良いって言ったよねv」

「…何か、温かくなった…。」

「くく、可愛いv」








□ アトガキ ■

これも、少し改良(?)しましたぜ。
・・・良くなったかわからんが(笑)
・・・気づかないだろうなぁ。
気づく人とか・・・褒め称えますよ。
ぶっちゃけ、自分も覚えてません

H.18.1.7


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あきゅろす。
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