脳内モルヒネ
自分からはガンガンいくくせに相手からの攻撃にはめっぽう弱い
おっす!俺、貫目伊都!
今をときめく17歳さ!
周りからは煙たがられる系でちょっぴりしょぼんな俺だけどとりあえずは元気に生きてます☆
今日は今から体育の授業なんだぜ。
心底だるいし!
せめて心(視覚的にも)の癒しを求めて今井君の着替えを拝もうとしたら、目ざとく俺の視線に気付いた篠山に全力でしばかれた。
くそっ。なんだよあいつ。くそっ!!
絶望しつつもだもだと着替えを済ましてグラウンドに整列する。
ああ、今井君は今日も爽やかだ。
屈伸する姿もたまらなく良い。
なんか汗をかいても今井君だけは良い香りがしそうだぜ。
よし、あとでこっそり嗅ぎにいくか。
…ネックは篠山だな。
あいつの目を盗んでこっそり今井君に近づくにはどうしたらいいんだ。
中津を囮にでもするか…。
「おい、お前今確実に不穏なこと考えてただろ」
わしっと中津の手が俺の頭を掴む。
「なんも考えてないって!変な言いがかりは止めてくれたまえよ!」
「口調から動揺した様子がまる分かりだから」
「ちっ、それじゃあ仕方ないな!」
「開きなおんな」
「ぬおーん!」
くしゃくしゃと頭をかき混ぜられて思わず叫ぶ。
あーもう!折角綺麗に整ったヘアが台無しやないかーい!!
「もう!俺をいじるのヤメろよなっ!つーか後藤はどこ行った!?あいついじめてたらいいんじゃね!」
「俺が構わなくなったらそれはそれで悲惨だろ、お前が。あと後藤はサボり。ほら、柔軟するぞー」
ぐぬー!悲惨てなんだ!
でも確かに中津のフォロー無かったらぼっちの予感がとんでもなくするわ。
ありがたやありがたや。
ちょっと髪がくしゃったくらいで怒って悪かったぜい。
あとで飴ちゃんやるよ。
それにしても後藤め。まだ失恋から立ち直っていないのか。
仕方ない。昼休みに俺の今井君秘蔵コレクション☆を見せてやろう。
きっと奴の荒んだ心も洗われるに違いないぜ!
2人一組でやる柔軟体操。
今井君は篠山と組んでいた。
今井君に堂々と触れることが出来る絶好のチャンスだったわけなのだが、篠山の鉄壁のガードが半端ねぇーー!
「ちっ」
「はい、舌打ちしない」
俺の思考を読み取ったエスパー中津にたしなめられ、しぶしぶ体操を始めることにした。
今井君と一緒に組めないならせめて近くで彼を感じたい!
ということで中津を盾に今井・篠山組の隣に陣どってみた。きゃっほう、やったね!!篠山の目からだだ漏れの殺害光線など効かぬ効かぬー!
そして事件は起きた。
「あれ、お前太った?」
「なんですとっ!?」
上体そらしで中津の背中にだるーんと乗せられていると、下からトンデモ発言が。
「おい、キミ。成長期まっさかりな健全DKに向かって太っただと?」
「ちょ、背中の上で暴れんな!とりあえず降りろ、な?」
中津から降ろされた俺は上から下までジロジロと観察された。
くっそ!俺は断じて太ってなどいない!そんな目で見るな!居心地悪いぞ!!
「いやんもう、エッチ!視姦しないでよおぉ」
「はいはい」
「…」
もはや否定すらしなくなるとは。
やるな、中津。ナイス放置だ。
「ほら、やっぱ腹肉掴めるし」
「ぎゃあっ」
むにっと腹の肉を掴まれる。
確かにこんな肉、今まで無かったような。
「…まじか。それまじで俺の肉か?」
「甘いもん食い過ぎじゃねーの」
「むーん」
やっぱ寝る前にアイスの2個食いはやり過ぎだったかな…?
だけどアレ習慣になると惰性で食っちゃうんだよなぁ。
なんてことを考えていたら、隣で体操をしていたはずの今井君がいつの間にか背後にまわっていて、あろうことか俺の、俺の腹肉をぽにっと指で押してこられたあぁあああ!
「あはっ、まじで柔らかっ!ダメじゃん、ちゃんと運動しろよ貫目ー?」
「@./&twmpa/#2\%☆〒^!?!」
「え?今なんて言った?」
前屈みで倒れ込む俺を覗き込むようにして今井君が顔を寄せてくる。
やめ、やめてぇぇーーー。
「こら今井!こいつに触るな!アホが感染る」
「もう、篠山はすぐそういうこと言う…」
なんか頭上で今井君がフォローしてくれてる。ごめん、今井君。こんな俺に優しくしてくれて。
好き。
やっぱすっきゃねーーーん!!
「ほらもうすぐ集合かかるぞ」
俺から不穏な気配を敏感に感じとったらしい篠山が、俺から今井君を引き離そうと声をかけている。
「あ、やば。じゃあ貫目先行くよー。お前も早く来いよなー」
今井君が俺の肩をポンと優しくたたき声をかけてくれてるというのに、俺は膝立ちで地面に手をついたままこくりと頷くことしか出来なかった。
ああ、俺のばかっ。
そしてそんな俺の横には中津が立っている。
「なに、そんなにぷよ肉触られたのがショックだった?」
「…いや違う」
全く次元の違う問題が起きているんだ、中津君よぉぉぉ。
「あのね、今やばい」
「は?どゆこと?」
「今井君につんつくされて大興奮だよぉぉぉ、はあはあ!やば、もう勃ちそうってかすでに半勃…がふっ」
全部言う前にゲンコツくらった。
「痛い!痛いよ中津!!!!アンド舌かむかと思ったし!ばかぁっ!」
「馬鹿はお前だ。てか痛みで萎えただろ」
ん?
下半身に目を向けてみる。
「わぁ、ほんとだ☆」
すっくと立ち上がり(あ、俺自身がね、下半身の話じゃないよ?)中津の肩に手を置く。
「さんきゅ!やっぱ持つべきものはちょっと暴力的な頼れる親友だな☆」
「親友とか、やめてくれる?」
わー…。冷たく言い放たれた俺は今涙目だよ?ねぇ見えてる?中津クン、ねぇねぇ。
めそめそしてみたが無視された。
「….う、うわぁぁぁん、やだやだ捨てないでぇ!」
「うわっ。ちょ、やめろ。わかったから離せって」
「なんだ、今井から中津に心変わりか?」
俺を置いて行こうとする中津に縋り付いて泣いていると、それを見ていた篠山が嘲笑う。
「馬鹿言うな!!俺は昔も今もこれからも!ずっと今井君一筋だ!」
「頼むから俺を巻き込むなよー」
「ふん。無駄なことを」
「…(なんで篠山と貫目はケンカするんだろ
ー。ケンカするほど仲がいい的なアレなのかなあ?)」
全く嫁姑問題は根が深いぜ!
四者四様の思いは次回波乱の展開を迎えたり迎えなかったりするのであった、まる。
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