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脳内モルヒネ
フラれ男とお弁当事変
おっす、俺、貫目伊都!
恋に恋する17歳さ☆

ところで君ら、周りから存在がウザイ、朝からテンション高すぎてウザイ、とにかくウザイって言われたことあるー!?
俺はほぼ毎日言われてるYOー!!
俺だって生きてるんだ!皆と同じに・ん・げ・ん、なんだぜ!?
なのになんなんだ、この仕打ちは。

もちろんTPOをわきまえて行動してるのにさ。
授業中は黙っていられるし、やるべきことはきちんとやっている!(多分ね☆)

「だから、せめて自由時間はあるがままでいさせてくれたって!いいじゃないかぁぁぁぁぁ!」
「いや、うるさいの迷惑だから。TPOはどこにいった」
「まじでうるさいし。ほんとうざいよー」
「…うぐぅ」

昼休みになったので心の叫びを駄々流しにしていたら、クラスメイトの中津と後藤に注意&罵られた。
くそっ!言いたいことも言えないこんな世の中なんて!!!!!!

「おい、このポイズン野郎ども。そろそろめしでも食べましょーよー」
「もう食ってるし」
「はぁ。黙ってらんないならその辺に埋まっててくんないー?」
「おい、後藤!さっきからお前の言い方ひどくねっ!!いつにも増してひどいじゃないさっ。きぃー!」

俺が詰め寄ると後藤は心底嫌そうな顔をした。
こやつとは1年から同じクラスで割りと仲が良い。いわゆる合コン仲間だ。そしてチャラ男だ。
見た目や口調でゆるふわを装ってるけど、中身は結構アレだったりする。

まぁ俺は真実の愛に目覚めてしまったので最近はあんまり遊んだりしてなかったけどね!?
もう女の子とか心底どうでも良い感じだっしー!

…はっ、もしや最近遊んであげてなかったから拗ねてんのかね!?
全く、可愛いヤツめ。

「全然ちげーから」
「おっふ、よもや心の声が漏れているとは思わなんだっっ」
「…」

俺の発言に後藤は答えようともせず、黙ったままむくれている。
いつもなら俺のテンション高めな言動にもわりかし付き合ってくれるのに、今日は全然乗ってこないし激しくご機嫌ななめの様子。
んーどうしたのよ、一体?

「後藤は失恋中でブルー入ってんだってさ」
「ぇええええっ!!!」

中津からの思いがけないリークにびっくり仰天!
がばっと後藤の方へ身体を反転させて凝視すると、後藤は苦虫をかみつぶしたような顔をしていた。

「まじぇっ!?え、まじでそうなん!?ごっちん!それって本当なのかい!?」
「…うるせぇよ、ほっとけ。つか中津ー、コイツにそういうこと言わないでくんなーい?」

後藤が抗議すると、わりぃわりぃ!と中津が返す。
は?なんでだよ!

「なんで俺だけ除け者!?」
「今みたいにうるさく騒ぎたてるじゃん」
「おぅっふ」

うん、まぁソウダネ!!!!
…そう言われると最近の後藤はちょっと様子おかしかったかも。

「ふーーん、なるほどそうだったのかー。後藤が失恋ねぇ…。女に執着するタイプじゃなかったのに、恋は人を変えてしまうんだねぇー。なーんだ俺と一緒だね!!あ、同じっていうのは失恋のとこじゃなしに、恋は人を変えるってところね、念のため」
「…お前さぁ、まじ黙ってくんない?今冗談とか通じる状態じゃねーから」
「むぅ!なんだよもう、後藤の怒りんぼー!」
「ほら、もうやめろお前ら。めしがまずくなる」

険悪な雰囲気になる前にやんわりと中津のストップがかかり、ハッと我に返る。
売り言葉に買い言葉とは正にこのこと!(?)
やばい、俺完全に調子に乗りすぎてたぁぁ!!!!

「すまぬ、後藤。俺ってヤツは完全に気遣いが足りんかったよぉ。許してくれる?」
「…んーん、貫目がウザイのは前からだし。適当にあしらえなかった俺の力不足だから気にしないでいーよー」
「ぐぬぬぅ」
「こーら。もうやめろって!ほら、とっとと別の話題にいけ!」
「うん、そうしてー。俺のことはいないものとして扱っていーよ。沈んどく」

そう言って後藤は机に伏せてしまった。
俺これから弁当食うのに君の頭が邪魔なんだけどぉ…。
でも文句は言わない。ちょっとは優しくしてあげよう。

「はぁ、そういや昼休みだっつーのに今井君はどこにいったのかな?今井君をおかずに弁当食べたいんだけど」
「知らねーよ。てかお前の発言きもい」
「なっ!ひどいぃっ…!中津のばかっ!」
「お前は自分が発する言葉の破壊力についてもう少し考えたほうがいいよ?」

そう言って、中津はなんとも言えない表情で俺を見た。
そ、そんな可哀想なコを見る目で見ないでくれるかなっ!?
そういうの余計ツラくなるって知らないだろ!!

「うっ、うっ、涙でごはんがしょっぱいよぅ」
「そうか、じゃあふりかけいらないな。良かったなぁ」

中津ー…、俺をなんだと思っている!ぷんすこぷん!
もそもそと弁当を口にしていると、急にある思いが頭の中を駆け巡る。
うをーーーー!やべぇこと思いついたぁぁぁぁ!!

「中津!!俺っ!今井君にお弁当を作りたいっ!」
「話が急すぎてついていけねぇよ」

だって思いついてしまったものはしょうがない。
今井君に!俺の手作り弁当をっ!渡したぁぁぁああああい!!

「…はあん、やばいよこれぇ。俺が作った料理を今井君が口にするなんて…めっちゃ破廉恥極まりないな!想像しただけで鼻血が出ちゃうぜ、ふぅっふー!」
「あそう」

おっと、中津!もはや俺の会話に付き合う気なくしてんね!?
でも構わない!そんなの瑣末なことさ!

「よし、そうと決まれば今井君に好き嫌いあるか聞かなきゃな!」
「お前の手作り弁当を拒否される懸念は一切なしか?」
「あ、今井君戻ってきた!いまいくぅーーーーーーーーん!!!」

教室に戻ってきた今井君を捕まえるべく猛ダッシュ!

「あーあ…本当にあいつはよう…」
「中津、呼び止めなくていいよ。とりあえずここは静かになるからー」
「…まぁ、そうだなぁ」

残された中津と後藤の会話などもちろん耳に入っていませんけど何か。


「え、弁当?」
「うん!今井君にお弁当作ってきたいんだ!何か嫌いなものとかある!?」
「(なんで俺に?)あー、好き嫌いは特にないんだけど…」
「うん!」

少しだけ言いよどむ今井君も素敵だ。
っていうかどうしたんだろう。あんまり話したくない感じ?

「実はさ、前にもらった弁当食ったらおかしなことが起きて、それ以来手作り弁当は辞退してるんだ」
「え」

おかしなこと?
おかしなことって…。


「わぁぁぁあああああ!なにそれなんなの!?今井君の身に一体何が起きたのぉぉぉ!?うそだろ今井君の貞操がっ!!!純潔がぁぁぁ!!お、おのれぇーー、どこのクソ女の差し金かぁぁぁ!この俺が!この俺が必ず成敗してくれるわぁぁ!!ふひぃぃぃぃん、今井君が!ピュア天使今井君がどこの馬の骨ともわからぬ輩に穢されてしまったぁぁぁ!!ぴぎーーーー!」
「ちょっと貫目ー、耳が痛いよー」
「あーもう、ごめんなぁ、今井。俺の監督不行届きだった」

騒ぎを聞きつけて駆け寄ってきた中津が、沸騰して暴発している俺の頭を掴んで今井君から引き離した。

「うわぁぁぁん、中津ーーー!エンジェルが!俺のエンジェルがぁぁぁ」
「妄想乙ー」
「もうっ、俺絶対許さないんだからなっ!今井君を穢した女を今すぐ抹殺せねば!今井君が平和に暮らしていくために!!永久に!」
「ていうかそんなんこと言ってたらお前が真っ先に消されると思うぞ」
「なんでだよ!」
「少しは自分の危うさに気付けー」
「俺は危なくなどなーーいっ」

ぽこぽこと中津の胸元を叩いて抗議する。

そして今井君はそんな俺を見て、「なんかごめんなぁ」と謝ってきた。
俺の奇行(中津曰く)にも全く動揺せず、本当に出来た人だ。
後藤にいたってはこっちの様子を見ようともせず机に伏せったまま身動きもしないんだぜ!俺がこんなに打ちひしがれているのに全く友達甲斐のない奴ぅぅぅ!!あとでいじめる!


そんなこんなで今井君に俺のお弁当を食べてもらい、あわよくば俺のフェティシズムを満たしたい★計画は破綻した。
全く残念でならない。
だが俺はこれから今井君のために至急暗殺計画を練らなければならなくなったので、結構忙しくなると思うんだZEー!


それではまったねーーーん!


※おかしなこと
今井→お腹壊しちゃったよ、とほほ。
貫目妄想→媚薬的な何か混入されたに違いない!!!!


貫目の妄想は続く…

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あきゅろす。
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