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本編(今宵)
都合の良い夢ならば


ガャガャガャ……

「ばいば〜い」

「また、明日」

「今日、何処寄ってく?」


今日も陸にとって、特別変わった事もなく学校が終わろうとしていた。陸は誰かと雑談する事も無く、黙々と帰宅の準備をする。

そんな陸の姿をクラスメイト達はあからさまに気にしていたが、陸が気づくはずも無かった。



――――…


教室を後にした陸はそのまま昇降口に向かった。
昇降口には心なしか人が集まって居る様で、陸は気になり少し足を速めた。

陸の存在に気付いた野次馬は、気を使ってか陸が通れる様にと道を開けた。

その先にあったのは、誰かを待って居る青樹の姿。下駄箱に背中を預け携帯をイジっている。そんな姿でさえ、酷く様になっていた。

陸は瞬時に理解した。

青樹が誰かを待っているのだ。青樹が人を待つこと事態が、それは酷く珍しい事だから、誰を待っているんだろうって、皆気になっているのだ。

陸は知らない誰かに嫉妬せずにはいられなかった。


だって、わかっているのだ。

自分では無い誰かを待っているのだという事。

期待するだけ無駄だと、陸は嫌と言うほど学んで来た。

早く帰ろう。

そう思い、陸は青樹を避けて昇降口を出ようとした。その瞬間、陸は腕を強く掴まれ、咄嗟に後ろを振り返った。

「………ぇっ」


陸は目を見開き、自分の腕を掴んでいる人物を見詰める。


「ぇ、あっ!ちょっとっ……!」


陸が彼の名前を口にする前に、力強く引っ張られて行く。


誰が見ても分かる。

今の彼は何か凄く怒っていると。


どうして、彼は何をそんなに怒っているのだろうか?

そして、その怒りの矛先は間違い無く自分に向けられていると、陸は思った。


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あきゅろす。
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