Short Story
1
カーテンの隙間から漏れる朝日が瞼の裏からでも眩しくて、三成は目を覚ました。
二人で寝ても広々と横になれるから、とキングサイズにしたベッドにはしかし、今は三成一人しかいない。ぽっかりと空いたスペースに手を這わせると、そこに政宗の温もりはもう残っていなかった。
三成は、朝が強いわけではない。だが、普段であれば三成のほうが早く起きるのだ。相手は昨夜、散々に抱かれた身である。目を覚ます、という点に限れば、政宗は三成よりも早く目覚めるが、如何せん身体の怠さが活動を鈍らせるのだ。
しかし、珍しく今日は政宗のほうが早く起きているらしい。
三成はまだまどろみを貪っていたい欲求を必死に堪え、ベッドから抜け出した。寝室を出れば、こうばしい香りが鼻腔をくすぐる。卵でも焼いているのだろうか。だが、フライパンの上で何かを炒めている音に、澄んだ音色がまぎれていることに首を傾げた。疑問を払拭させるために台所を覗くと、そこには見慣れた政宗の後ろ姿があった。
気配に気がついたのだろう。視線が向くと同時に音色が止み、政宗は声をかけた。