捕まえてください
ヘッドはいつもあまり眠れていないみたい。
どうしたの？と聞いてもなんでもないよ、といつも通りの笑みが帰ってくるだけ。
せっかく心配してあげてるのにもう！
「今日も眠れない…」
「ヘッドはどうして眠れないの？」
「さぁ…どうしてだと思う？」
質問に質問で返してくるのは彼の癖？
わからないから質問してるのに返されたってわかりっこないわ、彼って卑怯。
頬を少し膨らませると吸い込まれそうなアメジストの瞳が楽しそうに細められる。
こうやって話しているときの彼は楽しそう、だから私も貴方と話していると楽しいの。
「じゃあさ、サカナちゃん…」
「なぁに？」
「どうしてそこから逃げないんだい？」
「えっ……」
そんな事聞かれるなんて思ってなかった！
逃げようと思えば逃げれるのよ、最初からこの鳥かごに鍵なんてついてないんだもの。
でも今はここが私の世界、逃げようなんて思わない。
本当は捕まったままでいたいなんて。
捕まえてください
「…そんなことわかってる癖に、意地悪なのね」
「ごめんごめん、少し聞きたくなって」
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