そうして獣は愛を貪る
(ついに彼を手に入れた!)
(もう僕だけのものだ!)
(なんて幸せなんだろう!)
彼を激しく抱くことに満足感を覚える。
普段すました顔して冷静な判断をする彼が涙を零し、あられもない姿で妖艶な叫び声を上げるのだ。
なんて素晴らしい!
支配というのはこんなにも気持ちがいいものだとは。
そうやって僕しか知らない姿を見続けるのは胸が満たされ幸せな気分になる。
首筋に噛みつくようなキスをすると小さく悲鳴が上がった。
「いやっ……」
「嘘をつくな」
そうやって付けた朱い痕が独占欲をひたすらに増幅させる。
彼はもう僕の手の中なのだ、何も恐れることはない、もう失うことはない。
日を増すごとに激しくなるこの行為はどうやら彼には苦痛らしい。
けれどもそうされることを嫌がる彼をさらに酷く抱くのは何故だか非常に心地がいい。
熱く絡みついてくる中を犯す感覚は甘く僕の脳を支配し、歯止めを効かなくさせる。
「あっ、ひぁ…やっ…いやぁあっ……!」
「嫌…?何を言っているんだ、僕が突き上げる度に締め付けてくるくせに……本当に淫乱な人だ…!」
「はっ…あ、違っ…!」
中に大量に出された精液のぐちゅぐちゅとした卑猥な音が部屋中に鳴り響き視覚のみならず聴覚にまで官能的な世界が広がる。
潤んだ瞳は本物のアメジストみたいに綺麗で、綺麗な物を汚しているような感覚に陥る。
「うっ…あ、あああぁっ…!」
「……く、」
果てる姿さえも美しいと思う僕は本当にどうかしてる。
けれどもこの優越感、堪らない。
何度も犯されて気を失った彼の頬をぺちぺちと叩くと、閉じた瞼がゆっくりと開き、虚ろな瞳が僕を見つめる。
本当の快楽はまだまだこれからだ、第一まだ僕が満足していない!
(今日はおかしくなるくらいにメチャクチャにしてあげるよ!)
「勝手に気絶していいと僕は言っていない」
「ふぁ…もぅ、やらぁ……」
そうして獣は愛を貪る
誰かを独占するというのはどうしてこんなに気持ちがいいんだろう!
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