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遠慮します


好きなことを好きなだけやればいい!それが彼らの合言葉。

「今日はヘッドいないね」
「なんかいないと暇だな」
「暇、じゃなくて寂しいの間違いじゃない?」
「…ち、違うっつの……バンカー、ジンジャーくれよ」
「へ?あ、はいっ」

少し機嫌が悪そうなスティックスター、ニヤケた口元でからかうソードスター、ツンデレたのは金髪が目立つキャメルスター。
この三人はどうやら代表のヘッドに酷く酔っているようだ。
本人達に言ったところで恐らく不定されるだろうけど見てる分にはわかりやすい。
この部屋にいるときの彼らは本当に自由だ。
好きなことを好きなだけ精神に乗っ取って気のままに自由にダーツをして自由に飲食をする。
時には…その……代表との性行為にだって及ぶ。
僕の目の前でもお構い無しに三人がかりでいきなり代表を襲い始めるのだから恐ろしいったらありゃしない。
そんな部下を自由に手駒にしてしまうのだからバニシングエージの代表、ヘッドは末恐ろしい。
さながら蜂の巣の中の女王蜂だ。
…バニシングエージは皆自由すぎる。

「おや、今日は三人ともご機嫌斜めかな?」

そして何事もなく入ってくる噂の人物。
相変わらず仮面の下の表情は伺えず、声色からも何を考えているのかさっぱりわからない。

「ヘッドォ!」
「待ってたよ、キャメルスターが」
「ばっ、違ぇよ!!」
「まぁまぁ照れない照れない」
「今日は来ないのかと思ったよ」
「別に来ようが来まいが俺の勝手だと思うけどね?とりあえず三人共落ち着け」

自由な三人をばっさり切り捨てる。
そこら辺の淡白なところは嫌いじゃない、好感が持てる。
かと言って中々腹の内を見せない辺り信用は出来ないが。
ヘッドが来たことにより勿論三人はご機嫌だ。

「ヘッド、ダーツしようよ」
「そんな事よりたまにはこっちで飲むのもいいだろ?」
「いや、気持ちいいことした方がいいよな?」
「そうだね、どうしようかな…とりあえずキャメルスターは黙ってた方がいいんじゃないかな?」

上からソードスター、スティックスター、キャメルスター、ヘッド。
もう自由とか突っ込むのはやめることにする、気力が持たない。
常識人はいつも苦労するのだ。
お馴染みの猫背体制で掃除でもしておこうかと思う。
公園の掃除のおじさんなんかがよく使うような置くと開くタイプのちりとりと手頃なサイズのホウキを手に取る。
この部屋の清潔感はきっと僕により保たれているに違いない、そうナルシズムなことを考えながらいつも自己満足な掃除を始める。

「バンカーはどうする?」
「えっ?」

いきなりの問いかけに思わず変な声が飛び出る。
せっかくナルシズムに浸っていたのにやめてくれ!なんて言える訳もなく。
言わずもがな三人の視線がいたい。
なんてったって彼の意識が僕に向いているのだから。




遠慮します





勿論そう答えるしかなかった。
あの三人を敵に回したら後が怖い。
残念、と呟いたヘッドは僕の心境など当然わかっていないだろう。
彼らの邪魔をしないように僕はそっと部屋を出た。



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