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欲望の赴くままに


閉じた瞳をなぞって、そうやって触れてからもう僕は戻れないところにいるんだと気づく。
いつも覗いているアメジストの瞳が見えないだけで何故だか胸にもやもやが出来る。
少し激しくしすぎてしまったか、と嫌悪にかられながらも彼がこのまま眠り続けていてくれればいいと思ってしまうのはきっと独占したいから。
夢であってほしい、でも夢であってほしくない、さらさらと手を滑る肌の感触でやっぱりこれは現実なんだと今さらに実感する。

「ん、」
「…起きた?」
「スガ…タく、ん?」
「気を失ってたんだ」

僕が激しく抱きすぎて、なんて言ったら不機嫌そうな顔をしながらも頬を染めるのだから可愛らしいけどこちらも何故か恥ずかしい。(けど気絶する前の貴方も可愛らしかった)

普段ひょうひょうとした感じがするのにどうやらこの人は激しいのは苦手らしい。

「そう…今何時だい?」
「夜中だよ」
「……そうか、長居してしまったようだね、そろそろ俺は帰らせてもらおうかな」

ゆっくりと彼がベッドから立ち上がると狭かったベッドが一気に広くなって感じた。
彼がさっきまで横たわっていた部分がまだ暖かい。(この暖かさが冷めないうちに覚えておこう)
体を起こすと彼がシャツを羽織っているのが見えた。

「もう帰るのか?」
「まあ、ね」
「また会えるかな?」
「君が望むのなら会えるんじゃないかな……」

寂しそうであり辛そうであり、意味があるような表情が僕の何かを焦らせる。
今行かせてしまったらもしかしたら二度と会えないんじゃないか、

(いっそ閉じ込めてしまいたい!)
(ほかの誰にも貴方を見て欲しくない!)
(どうか僕だけの人でいて)

わがままな心が支配欲を露にしていく。
でも体は手に入れることが出来てもそれではきっと貴方の心は手に入らない。

「じゃあ…またね」
「……ああ」

家から彼を見送ってからズボンのポケットの中に手を入れる。
チャリ、と音を鳴らしながらポケットから出てきたのは彼がいつも首から下げていたペンダント。
こっそり彼が気絶してるあいだに取ってしまった僕は悪い人だろうか。





欲望の赴くままに





(これがあればきっとまた会える)
(このペンダントを取り戻すためにきっと貴方はまた僕に会いに来る)
(これでいい、そうやって貴方との関係を保てるのなら)





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独占欲強い黒スガタを書きたいだけ←
…続きます←←


あきゅろす。
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