たまには酔いたい
後ろからゆっくりのし掛かると薫からはいい匂いがした。
女性のものでも男性のものでもない甘い匂い、きっと薫特有の香りなんだろうと気付く。
「どうしたの?亮……」
「いや…なんでもねぇ」
首筋にキスを落とすとくすぐったそうに笑う。
逃げない、ってことは嫌がってないってことだよな…と勝手に自己暗示。
「っ……、亮…」
「はっ、キスマーク」
傷ひとつない肌に朱が一つ、変な独占欲がこいつは俺のものだと主張する。
薫の肌は白いからそこが冴えて余計に意識させる。
「なぁ、もし俺がお前のこと嫌いだって言ったら?」
「…悲しいね」
「じゃあ好きだって言ったら?」
「凄く…嬉しい……どうして?」
「…いや、なんとなく」
俺のことで悲しんで、俺のことで喜んで、一々俺のことでだけで一喜一憂してくれるのが凄く嬉しい、優越感、優越感。
薫なんてずっと俺のことだけで一喜一憂してればいいんだ!
「あんたは俺のもんだ」
「うん、僕は君のものだ」
「勝手にどっか行ったら許さねぇ」
「…うん」
こんなかっこいいこと言ってしまったんだが、こいつならいいかと思えてくる。
そもそもどっか行きそうにもないが。
「ねぇ、亮も僕の前から消えたりしない…?」
「おう」
消えるんだったら最初からこんな風にのし掛かってもいないし、一緒にいたりもしない。
そう言うと薫はふんわりはにかんで、ありがとうと呟いた。
こいつもこんな風に笑えるのか、意外な一面。
案外可愛いと思ったのが凄く悔しい。
「その顔、俺以外に見せんなよ」
「え……?」
「っ、なんでもねぇよ!」
たまには酔いたい
こうやってあんたに酔うのもありかも知れない
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80000を踏んづけたnappa様に捧げます、亮薫
たまには甘ったるい話を(笑)
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