悪趣味
苛々が募って、気だるくなり私ははぁと溜め息をついた。
ただ無機質な時の中で瞳を閉じてぼんやりと思い浮かべるあいつの顔。
…レザード・ヴァレス。
この私を抜いて、学院のトップとか言われてた辛気くさそうな男。
言われてたのは昔の話だけれども。
顔はなかなかだけど、性格は最悪。
まあ私が言えたもんじゃないけどね。
グラスの中をカランとわざとらしく音を立てて飲みほすと、苛々が少し収まった。
ただ時間が立つのを待ち二階へ上がると、例のホムンクルスが見えた。
レザードが造った、やけに少女趣味なホムンクルスだ。
カプセルに近づき顔を寄せると心地よさそうに眠っているのが伺える。
眠っているというか、生命活動が停止しているとでも言うべきか。
死んでる訳でもないしね…
まあ魂が抜けているとでも言っておこう。
そのホムンクルスを見ていると、やけに苛々する。
ほら、まただ。
先程まで収まっていた苛々がまた募りだす。
どうして、何で。
あいつがこれを造ったのかと考えると、苛々して吐き気がする。
あいつがこれを見ていたのかと思うと、窓を殴って割りたくなる。
その衝動を抑えて、私は急いでお手洗いへ駆け込んだ。
「ゲホッ、ゴホ…」
かっこ悪い、カッコ悪い。
だって惚れてしまっていたのは私の方だったのだから。
悪趣味
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こいつら好きだ…
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