ご飯の価値
フェアがシンゲンと同居生活をし始めて一ヶ月、早速事件は起こった。
ご飯の価値
「どうしよう…」
いかにもこれは困った、とゆう顔でフェアは頬に手を宛てた。
「どうしました?」
後ろの方でテーブルに座ってのんきに声をかけてくる男が原因なのだが、それも言えまい。
「あ、いや…あのさシンゲン……」
「……パンでいい?」
少々控えめに訪ねたそれは、この男には許しがたいお言葉で
「…駄目です!」
ああやっぱりか、と項垂れるも、フェアだってここで引き下がる訳にはいかない。
「あのね、もうお米がないの!」
「買って来ればいいではありませんか」
「買うお金がないの!」
すると初めて聞いたとでも言うように目を見開き、ガックリと肩を落とした。
ようやく分かってもらえたかとフェアが安心すると、今度は何かひらめいたようでいきなりテーブルから立ち上がる。
なんとも心臓に悪い男だ。
「稼ぎましょう、ご主人!」
「は、はぁ!?」
稼ぐってまさか歌で…冗談じゃない!
「何、どうやって?」
「三味線を弾いてちょちょいっと…」
「本当に三味線だけ…?」
何故かうっ、と小さく唸るシンゲン。
やっぱり歌う気だったのね…
「じゃあさ、お店のお手伝いしない?」
「手伝い…ですか」
少し考えた後、嫌そうに返事をされた。
もう、嫌なら手伝わなくていいのに…
「ご主人と仕事すると集中出来ないんですよねぇ」
「何ソレ!」
なんだか私が邪魔みたいな言い方じゃない!
やっぱり手伝わなくていいわよもう
「違いますよぉ、ご主人」
じゃあ何だ、と言おうと思い振り向くといつの間に近づいたのか目の前にはシンゲンが。
「ご主人といると気になって仕方ないんですよ」
貴方がね、と付け足された言葉はあながち嘘でもなさそうだ。
「ま、まあ…だったらやらなくて良いわよ…」
「いえいえー、白いご飯のためにやらせていただきます」
「何が白いご飯よっ…!」
そう言った時の自分の顔が熱を出したみたいに熱かったから、余計に相手を意識してしまった。
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エンディング後辺りだと思ってください(笑)
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