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食べ物で遊ぶ話


好きで好きで抱き締めたくなる。
好きでどうしようもなくて、独占したり、大切にしたくなる。
今まで感じたことがない色々な感情が電子回路みたいに難しく重なりあって、おかしくなりそうだ!
恋をするだけで人はこんなにおかしくなれる。
常に一人の人間を愛するだけでも人間というのは大変忙しい。
けれどヒイロが愛してやまない当の本人はモグモグとケーキを頬張るので忙しい。
そんなケーキより俺の息子を頬張ってほしい、などと脳内でぼやく。
上に乗っている真っ赤な苺にフォークがつぷりと刺さり、ゼクスの口元へ運ばれる。
苺は先に食べる派らしい。
まじまじと見つめていると、ゼクスの蒼い瞳と目が合った。

「…さっきから何を見ている」
「お前を見ていた」
「……そんなことは分かっている、何故見ていたのかを聞いている」
「理由がなければ見てはいけないのか?」
「そうは言っていないが…」
「…お前はケーキが好きなのか?」
「まあ、どちらかと言えば好きだな」

自分よりも優先されるケーキ、腹立たしい。
ぱくり、またケーキを一口、口の中へと運ぶ。
白いクリームが少し口元に着く。
ひょい、と指ですくい、ペロリと舐めるその姿がいやに艶かしくて。

「………」
「ヒイロ?…んっ……!?」

堪らなくなって、ヒイロは一気に組敷いて唇を奪う。
生クリームの甘ったるい味がした。
うっすら開いた唇の間から舌を入れ、より一層深いキスをした。
最初は抵抗していたゼクスも、徐々に力が抜けてきたのか、されるがままだ。
感じやすいのだ、彼は。
深いキスをするだけで、すぐにへにゃへにゃになる。(前に淫乱と言ったら怒られた)
時々上がるゼクスのくぐもった声が少し色気付いてきたのを見計い唇を離すと、とろんとした表情を浮かべてヒイロを見詰めていた。

「ヒイ、ロ……何を…」
「我慢できなくなった」

ズボンのジッパーを下げて、すっかり立ち上がってしまった自分のものを出す。
情けないものだ、さりげないゼクスの行動に欲情してしまうのだから。
強いて言い訳をするなら、ゼクスが好きすぎてつい欲情してしまいます、とでも言っておこう。

「舐めてくれ」
「なっ……!」
「聞こえなかったのか?お前のその上品なお口で、俺を満足させろと言ったんだ」
「誰がそんな…っ!?」

反論しようとするゼクスの口に無理矢理、陰茎をねじ込む。
苦しそうに逃れようとするゼクスの頭を両手でホールドし、逃げれないようにする。

「ん……むぐっ…!」
「そう、舌も、そのお綺麗な指もしっかり使うんだ」

諦めたのか、ゆっくり舌を絡めてきた。
目に涙を溜めながら、口いっぱいに頬張る姿は男として、かなりくるものがある。
柔らかい咥内で必死に舌を使い、咥内に含みきれない部分は白魚のような指先が優しく刺激してくれる。
なんというご奉仕精神だ。
上目遣いでこちらを見上げるサービスも忘れない。(恐らく本人は無自覚)
これはまずい、すぐに達してしまいそうだ。
膨張したそれが限界を告げている。

「ゼクスっ……!」
「…?…んっ……んん…!?」

耐えきれず、咥内へ思いっきり精子を吐き出す。
懸命に喉を動かし、飲み込むゼクスに愛しさが込み上げる。
飲み込めなかった分が、口の端から流れ落ちる。
ずるりと陰茎を口から抜くと、苦しそうに咳き込んだ。

「っ……げほっ…く…」

雄の匂いでくらくらしているのか、いまいち焦点が定まっていないように見える。
ふと、食べかけのケーキがヒイロの目に止まる。
真っ白なホイップクリームがたっぷり使われていて、見るからに甘そうだ。

「ヒイロ…っ……君はなんてことを…」
「ゼクス、お前はケーキが好きなんだよな?」
「…?まあ、どちらかといえばだが、……!」

何かに感づいて逃げ出そうとするゼクスよりも早く、ヒイロは彼を押さえ込み、腰を高く突き上げた状態にし、性急に下半身の衣類を剥ぎとる。

「離してくれっ…!そういう顔をするときの君はろくなことを考えない!!」
「何がろくなことだ、名案だ」

ケーキのホイップクリームを指ですくい取り、潤滑剤代わりにして後孔に指を入れる。
クリームの冷たさと驚きからか、ゼクスから小さな悲鳴が上がった。

「ケーキが好きなんだろう?下の口にたっぷり食わせてやる」
「やっ…ヒイ、ロ……!」
「上の口にも欲しいのか?」
「違っ……ん!」
「美味しいか?」
「ふぁ…はっ……ぁ…」

空いている手にもクリームを付着させ、指をゼクスの口の中へ突っ込む。
舌で指を押し返そうとしていたが、次第に押し入る指を舐めとるようになり、時々優しく吸い上げてくる。
指を舐められているだけで興奮する。
指から伝わる舌の感覚が心地よい。

「んぁ、…ふ…ぅ…」
「どうだ、上の口も下の口も犯される気分は」
「っ、はぁ…ん…」
「ほら、お前の下の口は美味しそうにクリームを食べてるぞ」

指を増やし、中でめちゃくちゃに動かす。
ケーキのクリームを何度もすくい入れて、ぬちゃりとかき混ぜる。
堪えきれないように、指を食わえた上の口から嬌声が上がった。
脚が快楽でガクガクと震えている、普段からヒイロに激しく抱かれている身体は快楽を覚えているようで、指だけで簡単に感じてしまう。

「んんっ…!……やっ、ぁ…」
「いやらしい…」

ゼクスの下の口は中に大量に白いクリームを入れられた上に、指でぐにぐにと弄られ、既にとろとろになっていた。
二本の指でくぱりと開くと、クリームがゆっくり流れ出してくる。
溢れ出すクリームが射精された後みたいになっていてかなり卑猥な光景だ。
この分ならいつ入れても大丈夫そうだ。
指をするりと抜き差しすると、物足りなさ気に腰が揺れた。

「んぅ…ふ、あ……ヒ…イロ……っ」

指を加えてだらしなく開いた口が、何かをヒイロに伝えようとしている。
唾液に濡れた指を引き抜くと、もどかしい快楽に耐えられないのか今にも泣き出しそうな顔をしたゼクスが、肩越しにヒイロへ可愛らしいことを訴えかけてきた。

「ヒイロ…」
「………なんだ」
「…ケーキより……君が欲しい…」
「……、」

君が欲しい、その言葉だけがぐるぐると脳内を渦巻いて、めちゃくちゃにする。
普段絶対にこんなことを言わないゼクスが、自分からは絶対にねだらないゼクスが、腰を突き上げて、おねだりをしている。
それだけでヒイロの理性の箍を取り払うのは簡単だ。
ゼクスの顔が見たくなって、ぐるりと体を反転させる。
髪がばさりと舞い、辺りに散らばる。
既に柔らかくなっている蕾に性器をあてがい、一気に挿入した。

「あっ…!ん、ああ…!」
「ゼクス…」
「はぁ…ヒイロっ……」

お互いに目が会い、自然と口付ける。
舌を絡ませ、どちらともなく唇を離す。
ゼクスの腕が自分を抱き締めてくれる、心の中が暖かい気持ちになった。

「動くぞ…」
「んっ……」

ゼクスの腕の温もりを感じながら、突き破るように腰を動かした。
今満たされていることが、普段素直じゃないゼクスが自分を求めてきてくれていることが嬉しくて、理性のままに求めてしまう。
心臓が、バクバクする。

「…ぁ……んあっ…あ!」

「悪い…加減、できそうに……ない…」
「あっ…!やっ、あ…ぁ……!!」

クリームがぐしゅぐしゅと音を立て、ピストン運動をすると溢れだしてくる。
突き上げる度に上がる声を堪えようとしている姿が愛しくも美しい。
耳にふっ、と息を吹き掛ければ絡みついてくる内壁がキュ、と絞まる。
背中に回ったゼクスの手が立てる爪の痛みですら、甘い痺れへと昇華する。
首や胸、至るところに吸い付いて、愛の証を残した。


「ゼクス…愛してる……!」
「私、も……愛し…て、っ…!ふぁ、あ…ぁあ……!」

お互いにきつく抱き締め会いながら深く口付けをし、同時に熱を吐き出した。
力の抜けたゼクスの腕が、するりと床へ落ちる。

「はっ…はあ……」
「…美味しかったか?」
「……最低の気分だ」
「悦んでた癖に」
「…っ!」

先ほどの行為を思いだし、みるみる顔を赤くするゼクスがぽかり、と一発ヒイロに拳骨を食らわせた。






食べ物で遊ぶんじゃありません!








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