風引き亮薫
ふらつく足取り、ぼーっとする視界、おかしいなと救急箱にしまい込んでいた体温計を引っ張り出す。
熱を計ったら39度、完璧に風邪で、熱が出ていることが一目瞭然。
あぁ、どうしよう。
「うっ……」
身体が段々だるくなってきて、小さく呻きながらベッドに身体を預ける。
このあいだ買ったウォーター枕が気持ち良い、でも熱ですぐに温かくなる、気持ち悪い。
あ、そういえば今日、ハセヲとクエストに行く約束してたなぁ……
重たい身体を持ち上げて、パソコンのディスプレイの前にどうにかこうにかたどり着くとメールが一件、きっとハセヲだ。
『今日って約束してたよな?
インしてないみたいだから連絡したんだけど、何かあった訳?』
返信しなきゃ、と顔を上げたはいいものの頭はぐぉんぐぉん、目の前がふらふらしてとても文字なんて打てやしない。
ああどうしよう、今日は一日何もせず(しないというか何も出来ない)屍ごっこでもしてようかと考えながらベッドまで這いずる。
今の僕はこのままでも充分屍らしいと思う。
気分ひとつで心配が停止出来そうな気がした。
ピンポーン
チャイムが鳴った。
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