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考え方の基準
分からない、彼が何を考えているか全く分からない。
それがとても気持ち悪くて、歯痒くて。



考え方の基準



「…あの、一騎」
「ん?何?」
「奴は、その…総士は、普段何を考えているんだ?」

それを聞くと一騎はびっくりしたような顔をして小さく笑った。

「な、何がおかしい…」
「いや…総士が何考えてるか気になるんだよな?」
「あ、ああ…」

軽く小馬鹿にしたような態度が鼻につく。
そういえばこいつも何を考えてるか分からない。

「本人に聞いてみれば?」
「な、」

本人に聞きづらい事だから一騎に聞いているのに、肝心な事をこいつは分かっていない。

「もしかして、カノンは総士が気になる?」
「違う!ただ…」

気になる、そんな訳がない。
そんな訳が、

「ただ?」
「何を考えているか、知りたいんだ…」

ただそれだけ。

そう、それだけ。

「何やってるんだ」
「おっ、総士」

丁度いいタイミングに、噂にしていた人物が現れた。
こいつ、超能力か何かを持っているんじゃないだろうか。

「カノンがお前の事気になるって…」
「ち、違う!」
「……?」

慌てて不定すると総士は不思議そうな顔をした。
普段からこんな感じでさっぱり考えが読めない奴。

「じゃあ何だよ」
「だから…」

いざ本人の前で言おうとすると言葉に詰まる。

「だから…?」

どうして、言えないんだろうか。

「…まあ言いづらいんだったらいい」

いずれ言ってくれれば良いしな、と言い微笑む顔は悔しいけれど綺麗だった。

「何だよ…つまんねぇの」
「…??」

別に面白くしたいなんて気はないんだからつまらなくて当然だ。

でも少しだけ分かった気がする。

案外、いい奴だな。




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あきゅろす。
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