終わりの始まり
消えてしまった彼女をひたすら探し続けて、偽りの世界の中でずっと僕は僕を演じ続けた。
その中で得たものなんて対したことはなくて、僕は突然消えたミアを探すためだけにThe Worldにログインしていたのだ。
「The Worldの…サービス停止？」
僕の全てが、なくなった。
今まで全てを捧げてきた偽りの世界は、音もなく緩やかに終焉を向かえる。
それと同時に僕の探し続けていた大切な人は永遠となり、１カラットのダイヤモンドを見つけることより難しくなった。
「The World…R:2？」
その世界崩壊と同時に知ったのは新しい物語、新しい世界のはじまり。
新しい物語を作るには古い物語を壊さなければならないのだと、そう言われているようで酷くもどかしい。
そして僕の中に残された道は二つ。
The Worldをやめるか、新しいThe Worldを受け入れ、もう一度彼女を探すか。
答えは勿論、決まってる。
「……」
僕は無言でThe World R:2をインストールする。
カチカチとボタンを押して、新しい世界のはじまりはじまり。
呪紋使いエルクが斬刀士のエンデュランスになった、はじめての日。
「今度こそ、」
今度こそ絶対にミアを探しだしてみせる、新しい世界の中、舞台役者のように誰とも叶わぬ契りを結んでみせた。
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