[携帯モード] [URL送信]
死の散り際

凛とした眼差しが政宗を射抜く。
強い意思を持ったそれはまるでお前にだけは屈するものかと告げているようで。

「……竹中、もうやめろよ」
「冗談、じゃない…!」

半兵衛が手にもっていた間接剣がカラン、と音を立て地面に落ちる。
ごほごほと数回激しい咳をし、地面に脚を着いた半兵衛の体はもう限界を告げていて、口から大量に血を吐いていた。
(俺はこんな竹中が見たいんじゃねぇ……!)

「竹中、もう流石に無理だろ……そんな体で俺と戦える訳がねぇ」
「僕はまだ、やれる…!」

意地とプライドだけで意識を繋ぎ止めている体を無理矢理に立ち上がらせると再び剣を構える。
豊臣のため、自分の夢のため、それだけが生きる証。

「何言ってんだ、帰って休んどけ」
「帰って休んだら君は僕に負けてくれるのかい…?」
「…Ha、まさか」
「僕にはね…休んでる時間なんてないんだ……君が暢気にお茶を飲んでいる時にだって僕は秀吉のために策を練り、馬を走らせ、尽くした…そしてこれから先あるかすらわからないんだ……!」

悲痛な叫びのような声に胸が締め付けられる。
政宗にはわからない、時間がない、病によって未来がないなどとゆう感覚はわからないのだ。
わからない自分が悔しくなる、何もしてやれない自分が酷く駄目に感じる。
そして、

「許せねぇ……」
「僕の考えがかい…?」
「違ぇさ、あんたをそこまでさせる豊臣が許せねぇのさ…仮にも主従なら労ってやるハズだろ……?」
「君の中の主従の固定観念と一緒にしないでくれ……」
「それでも気付いてやることくらい猿でも出来るだろ、優しい言葉だってかけれるだろ」
「五月蝿い、秀吉を侮辱するな……!君に僕らの何がわかるんだ…!」

半兵衛が右腕を振ると間接剣は鞭のようにしなり政宗へ襲いかかってきた。
政宗はそれを刀で弾き返すと一気に間合いを積め、辛そうに呼吸を繰り返す半兵衛に刀を向ける。

「…悪いことは言わねぇ」
「それで殺すのかい…?僕を……」
「殺さねぇさ、俺の側に置く、そして無理矢理にでも休ませてやる。あんたの為に奥州中を巡ってあんたの病が治るような薬を探し回ってやるよ」
「戯言を…」

半兵衛は後退りすると、懐から短刀を取り出す。
そしてその刃を自分に向ける。

「やめろ竹中!!」
「どうせもうすぐ死ぬんだ…君に情けをかけられて生き恥を晒すくらいなら僕はここで死んでやるさ…!僕は僕の信じた信念を貫き通すまでだ……!!」
「竹中ぁっ!!!」




死の散り際
(特と観るがいい!)




真っ赤な血が流れ、ドサリと半兵衛が倒れた。

(俺が望んだのはこんな結末じゃないのに)





.
バサラ弐の放送当時書いたやつ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!