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馬鹿なのはきっと自分

仮面の向こうが見えない、貴方の表情が見えない。
それは相手も同じだろうか、向こう側が気になって仕方がないのだ。

地下遺跡と一口に言おうにもなかなか広くて自分の位置が把握出来ない。
広い遺跡を歩き回っていたら彼を見つけた。
確かここでの名前はヘッドだ。
関係ないが彼のサイバディはレシュバル、レシュは頭を意味するからヘッドか、間違ってもヘッドスターとかじゃなくてよかったなと思う。
話かけるとなんだか嫌そうな顔をした…ような気がした。
気のせいだと願いたい。

「お坊っちゃまは早く家に帰った方がいいんじゃないかな?」
「何故そんなに嫌そうなんだ?僕を綺羅星十字団に招待したのは貴方じゃないか」
「嫌そう?そんなハズはないけどね」
「あからさまに嫌そうに見えるが」
「さぁ…どうしてだろうね?自分自身に聞いてみるといい」

そうやってはぐらかして、貴方が来いと言ったから来たのに!
(遅くなってしまったけど答えとして行動で示したじゃないか)
曖昧な笑い方も何もかも仮面を付ける前と何も変わらない、貴方の何もわからない。

「にしても無理だと思っていたけどね?」
「……何がだ」
「キミの勧誘…どうやらオレの事嫌いになったようだったから?」
「…嫌いじゃない」
「ふぅん?」
「嫌いだなんて言ってない」

何を言ったってその胡散臭い笑みを消しはしない彼に段々腹が立ってくる。
どうやら僕の思い通りにはなってくれないらしい。
その方が支配のしがいがあると言えばそうなのだが。

「もっともキミの勧誘に成功したのはイヴローニュだけど」
「別に貴方の約束を破った訳じゃない」
「へぇ…信じ難いな」
「…今日は随分お喋りなんだな」
「オレはいつもお喋りだが?」

まるで何かを隠されているようで、僕は良く思われていないような気がする。
気のせいか前よりも鋭く、トゲがあるような接し方をされるのだ。
今の彼の目はきっと冷たい目をしているんだろう。

「さ、もういいだろう?話疲れたよ」
「僕はまだ話をしたい」
「他の人と話せばいい」
「貴方と話がしたい」
「オレに話すことはない」

やっぱり冷たい、前にあの場所で会った時よりも冷たい。
胸が痛むのと同時にもやもやとした気持ちが溢れてくる。
思い通りに彼が反応をしてくれない、そんなわがままが僕を苛立たせる。

「キングはいいね、最初からキングで」
「……?」
「いや、なんでもないよ」

意味ありげな言葉だけ残して彼は僕の前から去っていく。
そうか、きっと彼は僕を支配したかったに違いない。
正しくは僕の力を。
僕が彼の思い通りにいかないから、彼より上の立場になってしまったから、だから……。
その事実に気づいてからよくわからない苦しみが込み上げてきた。
彼にとって本当に必要なのは僕自信ではなく僕のシルシなのだ。
彼が僕の力を支配したいなら、支配される前に支配仕返してやればいい!





馬鹿なのはきっと自分





(そんなのわかっているのに)
(気づかなければよかった)
(本当はもう一度彼の微笑みが見たいなんて)


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