純粋さは大切な事 ふと目に留まったのはショーケースの中のフリルのついた真っ赤なワンピース。 可愛いけど、自分には少し大きいだろうか…何て事を考えながらぼんやりと眺める。 「どうしたんだクラン?」 後ろから声をかけられた。 今一番会いたくない、ミシェルだ。 「……何も」 「何もないやつがボサッと突っ立ってるかよ」 ニカッと笑ってきたので反射的に視線を反らすと再びショーケースの中のワンピースに目がいった。 「…ははーん」 「な、何だ」 「お前、あれが欲しいんだろう?」 「なっ…!」 図星。 でもこの体では流石に着れないだろう。 ゼントラーディのままの体型でマイクローンになれたら着れただろうが。 「ち、違うぞ!?ただ可愛いと思って見てただけで…」 「仕方ないな…ちょっと来い」 「な、離せ!」 ずいずいと腕を引っ張られて店内へと入る。 いらっしゃいませ、と律儀に挨拶をしてくる店員に話すと、ショーケースの中のワンピースと同じ物を持って来てくれた。 「これ」 レジで会計を済ますとポイっとクランの腕の中にワンピースを投げ入れる。 「み、ミシェル…これ…」 驚いた顔でミシェルを見上げると、頭をポンポンと叩かれた。 …ちょっと力が強い。 「痛っ…」 「プレゼントだ、受けとれ」 それが着れる体型になるのを期待してるぜ、と言ってふらふらとどこかへ去って行った。 「……バカミシェル」 ちょっと嬉しそうにワンピースを抱き締めて、呟いた。 純粋さは大切な事 |