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不器用なのはお互い様

一緒にいたい、いたくない。
俺はいつだって大切な物を自分で傷つけて遠ざける、そんなのわかっていることなのに。
わかっているハズなのに自分ではどうしようも出来ない自分の行動が許せない。
声を聞かせて、眠れない夜は声が聞きたい。
夜明けのさえずりが響き渡る前に、その声が聞きたい。
でもその声を聞くことも悪い事のように思えて。
(俺はなんてわがままなんだろう!)

「リョウスケさん、もう帰ってくれ」
「唐突だな」
「…帰ってくれ」
「いきなり傷ついたな」
「……、すまない…」

俺と一緒にいたら絶対傷つくよ、ソラやサカナちゃんみたいにきっと彼も失ってしまう!
無自覚のうちに周りを傷つけてしまう自分が許せない、本当は一緒にいたいんだ。

「君は…」
「俺がどうした」
「俺と一緒にいて嫌だとか思わないのか?」
「思う必要性がない」

君が俺と一緒にいる理由はシルシを押し付けてしまった罪悪感だとか、義務だとかそういうことなんだろう?
だったら無理して側にいないで、これ以上俺に優しくしないでくれ。
(でも本当は寂しいんだ)

「俺と一緒にいたらきっと後悔するよ」
「しないさ」
「…今までだってしただろう?」
「確かにしたかも知れない、でも俺はお前と巡り会えたこと自体に後悔はしていない」

どうしてそんなにきっぱり言えるの?どうしてそんな風に考えられるんだ、本当に、本当にそう思っているの?
彼の表情が見たかったけれど、俺はうつむいたままそうする勇気がなかった。

「馬鹿だよ」
「ああ、馬鹿だ」
「いつかリョウスケさんの気持ちをきっと裏切るよ」
「構わない」
「俺は……!きっとリョウスケさんを傷つける!」
「もう傷ついてるさ」
「だったら!」
「お前がそんな事言うから」
「……っ」

ふわり、優しく彼に抱き寄せられる。
いつだってリョウスケさんは暖かい、彼は生きてる。
彼の顔を見上げるといつも堅い表情をしている彼がとても辛そうな顔をしている。
もしかして、俺のせい?
(ほら、やっぱり傷つけた!)

「もうそんなことを言うな」
「何で、」
「俺は傷ついてもいい、お前といたいんだ」
「……!」
「だから変な心配はするな」
「リョウスケさん…」
「俺はお前が何を言おうと離れる気はない、お前が嫌がろうとだ」
「本当、馬鹿だね…」
「馬鹿だよ、馬鹿だからこんなことしかしてやれない」
「……充分だよ」

本当は嫌がって何かいないのに、本当は、本当は。
何故だか不意に涙が出てくる。
泣いているのがバレるのが嫌で、彼にぎゅっと抱き着いた。






不器用なのはお互い様








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不器用二人を書きたかったのに撃沈っていう(笑)


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