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目指していた世界

頭上の星屑はキラキラ瞬き海という名の生命は誰が死のうと生きようと何事もなかったかのようにそこにある、誰かが死んでも世界は周り続けるけれど、誰かはきっと悲しむに違いない。
孤独を演ずる罰は孤独と知り、得た物は時間という名の孤独であり、失った物はなんだっただろうか。

(別に失っても構わないものだったけれども、)

それでも失いたくない物だってあった。
ただ一言を伝えればよかっただけなのに、伝えられなかった自分の弱さが苦しい。
怖がりで本当の気持ちを言えなかった。
誓う全て、その全てを賭けても失ってしまったもの。
俺の世界はこんなにも愛で溢れていたハズなのに!

(サカナちゃん…)

彼女が歌ってくれた歌を思い出した。
天体に手を伸ばしてみたが当たり前だけど届かなくて。
迷いながら生きる自分には優しい愛の歌が届かなくて、今さらになって届いて。
頬を静かに涙が伝っていった、結局一人じゃ何も出来ないのに。

「みつけた」
「……サカナちゃん?」

今まさに脳裏で名前を呼んだ彼女がいた。
失ったと思った彼女がいた。
優しく微笑んでいた彼女はもう思い出の中の人だと思っていて、ここにはいないハズで、でも目の前にいて。

「どうして…」
「貴方に会いたくなって」

来ちゃった、そう言ってやっぱり彼女は優しく微笑む。
彼女には心ない言葉を言ってしまったのに、どうしてまた戻って来てくれたのか。

「ヘッド、ごめんなさい」
「何故謝るんだい?」
「あの話のせいで機嫌を悪くしてしまったみたいで…」
「そんな…俺の方こそ申し訳ないと思っているのに……」

君は悪くないのに!本当は自分が悪いとわかっているのに逃げようとしていたのは俺なのだ。
本当は守りたかったんだ、幸せを、愛を、ただ大切な人を、悲しみに揺れる心を。
でも守りたいという言葉をずっと不定し続けていた俺には守るなんて出来はしない。

「あのね、私本土に行ってもやっぱり貴方に会いたくて仕方なかった」
「………」
「それぐらい、好きだった」
「サカナちゃん…」
「だからね、貴方が嫌だと言っても貴方の側にいたいの……」
「…嫌じゃないよ」

嫌な訳ないんだ、君との過去を取り戻したくて俺は力が欲しかったんだ、君がいるのならもうこれ以上得るものはない。






目指していた世界




今はもう目の前に。


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