そうして全てが堕ちていく
禁断の鎖は戒めるように縛り過去を続ける。
元凶は自らなのに本当は逃げたくて逃げたくて仕方がない。
そうして彼は祈るように眠りについた。
(どうしてオレは)
「今まで貴方が綺羅星十字団を取り仕切っていたようだが」
「……」
「今日から僕が仕切らせてもらおう」
自分ですら失敗したシンドウ・スガタの綺羅星十字団への勧誘をイヴローニュ、ニチ・ケイトはやってみせた。
見上げた先にあるのは王のサイバディ。
求めた力がすぐそこにあるのに自分には届かない、悔しさと虚しさあまり歯軋りをする。
王が現れてしまった以上リーダーは王だ。
こうして自分が堕落していくのを感じるとものすごく歯がゆくて腹がたつ。
「そうそう、送ってもらったあの絵だが」
「…気に入っていただけたかな?」
「残念だが僕は支配などされない」
「……そうか」
「支配をするのは、僕だ」
力欲しさに支配しようとしていたハズなのに、彼は支配出来ないと知る。
仮面の向こう側の表情を見るのが怖い、偽りのペルソナは真実を冷たく叩きつけてくる。
仮面に刻まれた印が、今のヘッドには酷く憎らしかった。
「そして、貴方を支配するのも僕だ」
「…オレは冗談は好きじゃない」
「冗談なんかじゃないさ、貴方の全てを僕が支配するつもりだ」
「……出来るのならね」
「出来るさ」
にやりと笑った口元は彼の自信を示しているのかなんなのか、かつては自分もこんな笑い方してたのかなぁと今さら冷静な思考を取り戻す。
ぼんやりしていたらいつの間にかスガタはヘッドの目の前にいて、息がかかるぐらい近くて。
「王に逆らえる者などいないさ」
その声には変に恐ろしさがあって無機質で、それでいて力があって。
王である程従うということを拒絶してしまいたくなるのは何故だろうか。
そうして全てが堕ちていく
結局敵わないのか、自分はどこまで堕ちていけばいいのだろう
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お互いに支配しようとするスガへ
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