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三度目の綺想曲

キャンパスの中に描くことは自由だ。
自分が想像したことを思うままに描けばいい、それだけだ。
この世界の全てが美しく尊い命であるのなら俺は一体どのような存在であるのか?
人は人を拒みまた人を欲する。
俺は何故大切な物を自分で遠ざけてしまうのか?
この絵を描くのは誰のためなのだろう。
俺は自分の未来を描けているだろうか。

「……呼んでいる」
「…何がだ」
「わからない、世界が、王が、この世のありとあらゆるものが」
「今日はまた普段より可笑しなことを言うんだな」
「…そうかもね、可笑しいかも知れない」

声が聞こえた、真実が見えた、はじまりに触れた。
今の俺には本当が見える、過去の俺には本当が見えない。
幻は幻であり真実、偽りは嘘と決めつけてしまうから偽り。
何が正しくて何が間違っているのか。
(答えなどなくていい、探す為に歩むのだ)

「…今の俺はリョウスケさんにはどう映ってる?」
「どうして聞く?」
「理由が必要?」
「……躊躇っているように見える」
「…そう、そうだね」

手離すことに躊躇い、他人と関わることに躊躇い、そして長い夢に逃げようとしている。
もし力を手に入れることが出来たら、俺は解放されるだろうか?
自分自身のしがらみに囚われるのは気持ちが悪い、今日もきっと眠れない。
眠りたい、長い過去へと夢を見たい。

「…この絵が完成したらさ、一番最初にリョウスケさんに見て欲しいな」
「それは楽しみだな」
「何を描いてるかは聞かないのかい?」
「聞かなくてもわかるさ、お前のことなら大体」
「はは、もう付き合い長いからね」
「……レイジ」
「何?」
「たまにはゆっくり休め」
「…ん、ありがと」




三度目の綺想曲





何度も何度でも繰り返し描き続ける、それが運命





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最終回見る前に書いてて最終回見た後に書き直した(笑)
シントキの夢色チェイサーの続き的な



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