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不器用な貴方が好き!
俺が求めた物は過去への欲望を集めただけのコレクションだ、さあ俺を笑うがいい。
何もかもを失って、もう失う物など何もない、全てを失ったのだ。
誰も気付いてくれやしないさ!何も持ってない俺などには、

「あ、やっぱりここにいた!」

夜の砂浜は風が冷たい、ここに来る人はそうそういないハズなのに誰かの声がした。
声がした方を見るとバニシングエージの例の三人がいて、俺の方へ歩み寄って来るではないか。
(いったい何しに来たんだ!)

「レイジさん何してんすか」
「…何も、目障りだ、消えてくれ」
「嫌だって言ったら?」
「……俺の前から消えてくれ」
「消えませんよ」

俺にはもう綺羅星十字団に居場所などない、バニシングエージにも居場所ない。
それでもこの三人はどうして俺に構って来るのだろうか。
いくらあの場にいなかったとはいえ俺が何をしたかくらい知っているハズだ。

「レイジさん、何か食べに行きましょうよ」
「今日くらい俺が奢ってやるからよ」
「え?俺の分も?」
「ツキヒコは自分で払え」
「…勝手に三人で行けばいい」
「俺らはあんたと行きたいって言ってんの」

別に俺じゃなくたっていいじゃないか飯くらい。
三人が俺といるのを気にしなくても俺は気にするのだ。
いつまでも俺に構ってないで、自分達の好きにすればいいのに。
同情なんてよしてくれ、放っておいてくれ、何もかも失った俺なんて。
生きる目的も失って、居場所も失って、今の俺は永遠に眠ることの出来ないピーターパンだ。
このまま何もせず、何も得ることも失うこともなく生き続けていくんだ。

「レイジさん」
「だから俺は行かないと言ってるだろう」
「ね、レイジさん行きましょう!」
「俺らにはあんたがいないとつまんないんだよ」

三人で寄って集って無理矢理に俺の腕を引っ張ってどこかへ連れていこうとする。
行かないと言ってるのに、何度言ったらわかるんだ!
勢いよく腕を振りほどいても暴れても三人は離れてはくれない。
これではまるで俺がだだっ子みたいではないか、俺が、子供みたいではないか。

「いい加減に、」
「いい加減にするのはあんただろ!」
「っ…」
「あんたは俺らの気持ちなんてどうだっていいのかよ」
「僕らは別に同情してる訳でもなんでもないです」
「俺達は本気で」

「あんたのこと家族みたいに思ってんだよ」

「………」

家族、家族。
俺が何をやったかは絶対わかっているハズなのだ、散々利用もしてきたし散々裏切ったのに。
それでも三人は俺の事を家族みたいに大事だなんて真面目な顔して告げてきて。

「……馬鹿だよ、君達は…」
「ああ、馬鹿だよ、でも馬鹿は馬鹿なりの考え持ってんだ」
「カタシロさんがあんたを待ってる、早く行こうぜ」
「今日のご飯は大勢で食べれますね」
「……ああ、そうだね…」

三人共いつでも能天気だ、そうやって何事もなかったかの用に振る舞う。
それでも暖かくて一緒にいると不思議と満たされて。
自然と頬から零れた涙は苦しくて出た涙なのかそれとも、嬉し涙なのか。





不器用な貴方が好き!
(世界で一番頑張っていて不器用な貴方が好き!)




こういう生き方だって、悪くないのかも知れない。






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最終回後に出た結論は家族みたいなバニシングエージが好き!だった
本当バニシングエージ大好きだ




あきゅろす。
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