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手を伸ばせば届く距離


手を伸ばせば届く距離





ベッドの上に座って、ジェイドは俺の脈を測ってくれていた。
軍人らしくない上品な座り方だ。
脈を測るのはここ最近毎日やる事。
でもその度に思ってしまう。

――もうすぐ消えちまうんだ…


そう思うと自分が今までとってきた行動は正しかったか、生きてる意味はあったのか、不安になる。

「…異常はありませんね」
「いつも悪いな…」


宿ではジェイドとの同室が増えた。
俺の体調のためらしい。

はっきり言ってジェイドと同室なのはかなり嬉しい。
本人はそう思ってないだろうが。

「ジェイド、あのさ」
「何ですか?」
「…やっぱ良いよ」
「…はっきりしませんね」
「ジェイドはさ、」


自分が消えるとしたらどう思うんだろう。
でもそんな事聞いたらきっとまた嫌味が帰って来るに決まってるだろうな…


「俺の事好きか?」


そう聞くと気が抜けた用な顔をしてフフッ、と鼻で小さく笑われた。


「なぁ、俺の事好きか?」
「さぁ…どうでしょうね」
「真面目に答えろよ」


俺には真面目な質問でもきっと本人にはどうでも良い事だろう。
だってジェイドは俺の事なんて何とも思ってないだろうし。


「さ、変な事言ってないでさったさと寝ますよ」


口調はお母さんみたいで暖かい。
でも肝心の質問はすっぽかされたままだ。


「ジェイド」
「何ですか?」
「さっきの質問の答え、」
「ああ――」


やっと質問に答えてくれた。
でもその答えは俺にとってやっぱり望まない答えだった。

もう少しでこの手がジェイドに届く距離なのに、俺にはその距離は近くて、遠すぎた。





end.

いや、はじめましてまともに書いたルクジェこれかよ(笑)


あきゅろす。
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