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パァン…

青い空の下に響く音。

それと同時に走り出す子供達…
そう、今日第壱中学校では体育祭が行われていた。


「あんた達いいわね!?絶対に勝つんだから!狙うは1位よ!」
「はーい…」


全校の中でも一番気合いが入っているアスカ達のクラス、通称2―A。
気合いが入っているのはアスカだけかもしれないが。

「別に勝たなくてもいいんじゃないかい?」
「勝つ事に何か意味があるの…?」
「大体1位なんて無理だよ…」


皆実に自分勝手である。
勝利にはまったく興味がないようだ。
そんな中“どうでもいいですよ”なムードを吹き飛ばすべく体育会系熱血関西弁男が立ち上がった。


「しゃきっとせい!年に一度しかあらへんのや!精一杯やろうや!」
「なかなかいい事言うじゃないの!皆わかったわね!?」
「ええ〜…」
「勝利…そこまで価値があるものなの?」
「参加する事に意味があるんじゃないかい?」
「つべこべ言わない!」


こうして、2―Aは一致団結した。(?)


「次は借り物競争ね…シンジ、最高1位、最低1位よ!」
「意味わかんないよ…」


次の種目紙に書かれた物を人から物を借りて来るとゆうちょっと迷惑な競技。
参加選手はシンジ。


「よーい…スタート!」


徒競走と同じくピストルの音で各選手がコース上にポツンと置かれた紙を目掛けて走り出す。
勿論シンジも紙を拾い…


「えっと…借りる物は…」

紙に書かれていた内容は…

『好きな人』


「え…ぇえ!?」


紙に書かれた内容に一気に赤面するシンジ。

好きな人はいるけれど、この皆の見ている場で本人を連れ出す訳にはいかない。
シンジが困っておろおろしていると…


「早くしなさいよバカシンジ!」


アスカが客席から大声で怒鳴りつける。
アスカは怒ると本当怖い。
自分の好きな人をばらすのも恥ずかくて嫌だが、アスカの説教の方が別の意味でもっと嫌だ。
シンジは諦めて好きな人を連れて行く事にした。
少しして、シンジがアスカ達の方に走って来る。
戻って来るシンジに疑問を覚えるアスカ達。


「あれ…?」
「こっちに走って来るわよ?」
「忘れ物か?」
「まさか」
「じゃあなんや?」
「勝利を諦めたのかもしれないわ」
「はあ!?なんですって!?」
「皆…普通に考えて何かを借りに来るしかないだろう?」
「ああ、そうゆう事か」


カヲルの一言でやっと納得した一同。
では改めて何を借りに来たのかとゆう疑問が発生した。


「何を借りに来たのかしら」
「ヒステリー女やないか?」
「はあ!?」
「流石に先生方もそれは書かないんじゃないかな?」
「…関西弁野郎」
「それもないんじゃないかな?」


そうこうしているうちにシンジがアスカ達の元へ到着。


「バカシンジ、何借りに来たのよ?」
「なんでも良いじゃないか…えっと…か、カヲル君…ちょっと来て…?」
「え?構わないケド…」
「じ…じゃあカヲル君借りるね…!」


そう言ってカヲルを引っ張って行ってしまったシンジ。
アスカ達の間には疑問が残ったままだった。


「何が書いてあったのかな…アスカ解る?」
「さあ…」
「嫌いな人とか?」
「あのホモに限ってそれはないわよ。」
「あれ?じゃあ…」
「…好きな人…?」


アスカ達は考えたが真実は神のみぞ知る、しつこくシンジに問いかけたが、シンジの口から内容が語られる事はなかった。
ちなみにシンジの順位は見事に1位だった。


「ホモシンジにしてはやるじゃないの。」
「で、シンジ、紙には何が書いてあったんだ?」
「しつこいってば…」
「…まあいいわ。で、次は?」
「えっと…」


ヒカリはプログラム表を見てみた。次は競技の間のお昼休みになっている。


「よし、皆、お弁当よ!」

休憩時間、そして大抵の人が楽しみにしていたお弁当の時間。


「わあ、アスカそのお弁当自分で作ったの?」


ヒカリも驚く美味しそうなアスカのお弁当。
まさか料理が苦手なアスカがこんなに美味しそうなお弁当を作れたとは思いもしまい。


「でしょ?私だってやれば出来るんだから!」
「何がやれば出来るだよ…僕が作ったのに」
「セカンドが作ったんじゃないのかい?」


美味しそうなハズだ。
シンジが作ったのだから


「バカシンジ!余計な事言うんじゃないわよ!」
「だって本当の事じゃないか!」
「まあまあ二人共…」


また始まった二人の口喧嘩。
いつも些細なことですぐに喧嘩をし、止めが入るまで揉め続ける。


「僕知ってるよ!アスカは見栄はってカヲル君に料理が出来るように見せたかったんだ!」
「ち、違うわよバカ!」
「そうだったのかい?」
「っ…違うってば!」


顔を赤くしながら言っても説得力がない。
そこにシンジが追い討ちをかける。


「アスカはカヲル君の事好きなんだろ!?」
「え…!?」
「ば…バカ!違うわよ!」


新事実に驚く一同。
勝ち誇った顔のシンジ。
不思議そうな顔をするカヲル。
顔を真っ赤にして下を向くアスカ。
無言で野菜を頬張るレイ。
一人一人個性的な反応だ。

「アスカが…」
「渚を…」
「好き…!?」
「アスカ、本当なの!?」「え…ぇえ…」


アスカに詰め寄るヒカリ達。
一方アスカの意中のその人はレイと同様に野菜を頬張っていた。
困ったアスカは…


「…ふん、だから何よ!?さ、次のリレー頑張るわよ!」


話をそらした。


「ちょっとアスカ!」
「どうなんや!?」


アスカは皆からの総攻撃を無視してお弁当を食べていた。


「…あれ?」


シンジはそのアスカを見て何故か負けた気分になっていたとか。


午後の部、開始


「アスカ頑張れ!」
「まっかせなさぁい!」


体育祭、目玉と言ったら勿論クラス対抗リレー。
2―Aからは、アスカ、レイ、カヲル、トウジの四人が出る事になっていた。


「絶対に1位を取るんだから!走ってる途中で転けたりでもしたら許さないわよ!」
「わかっとるって」


余程勝ちたいのか、午前よりも厳しくなっているアスカ。


「私は鈴原君から貰ったバトンをフィフスに渡せばいいのね」
「そうだよ」


カヲルはレイにリレーの説明をしていた。


「ファースト、まさかリレーのルール知らないなんて事ないわよね?」
「やった事ないもの」
「ええ!?あんたそれで良く立候補したわね!?」


レイがリレーに出る理由、それは自ら立候補したからであった。


「やってみたかったの」
「へぇ…でもやるからには勝ちなさいよ!?」
「ええ」


勝つ事を念押しするアスカ。
それを承知するレイ。
なんだかんだ言って二人は仲がいいのかも知れない。

「セカンド、靴ひもがほどけそうよ」
「え…?大丈夫よこれぐらい!」


アスカはレイの言った事は気にせずに声を上げた


「よし、あんた達早く指定の位置に着いて!」


もうすぐリレーの始まる時間帯。
アスカの掛け声で散々になる一同。
第一走者はトウジ。

他のクラスの走者が早いスピードで走り抜ける中、トウジも負けじと早さを上げ次々人を追い抜き、2位まで上る。


「鈴原、頑張って!」


ヒカリの応援に答えるかのように、そのまま一気に1位へと躍り出る。

第二走者レイ。


1位をキープしながら走り抜けて来たトウジからバトンを受け取り、驚くべき早さで走り出すレイ。
これには皆ビックリ。
早い早い、とにかく早い。
トウジよりも早い。


「綾波にあんな才能があったなんて…」
「こりゃ驚いた!ビデオに収めないと」
「綾波さん凄い…」


そうこうしているうちに、誰にも抜かれずにレイがダントツ1位でカヲルにバトンを渡す。

第三走者カヲル。
しっかりとレイからバトンを受け取り、強く地面を蹴って走り出すカヲル。
早さもあるが、その走り方のフォームはなによりも綺麗だった。


「渚君かっこいいね」
「うん…!流石カヲル君…!頑張れ!」
「い…碇君…」
「こりゃ凄い!ビデオでしっかり撮らないと」


そしてカヲルもまた、ダントツの早さでアスカにバトンを渡す。

第四走者アスカ。

レイが他の走者に差をつけてたのでゆっくり走っても追い付かれる事はまずないだろうが、アスカは全力で走った。
当たり前だ。
それがリレーなのだから。

後100m足らずでゴールだ!

アスカは少し笑顔を浮かべた。

…が


「きゃっ…!」


ドサッ…

鈍い音をたて地面に勢いよく転倒したアスカ。

誰が予想したであろう。
一番転ぶなと口を酸っぱくして言っていた人物が転んでしまった。

原因は、ほどけた靴ひもを踏んでしまった事だった。
転んだアスカの後ろから走って来る他の走者達。
アスカは今更になって後悔した。

(あの時ファーストの注意にもう少し耳を傾けていたら…)

でも今更後悔しても遅い。
アスカは素早く身を起こし、靴ひもを結び直した。
その間に他の走者に抜かれる。
でもまだ追い付ける距離…!

(あんた達になんか負けてらんないのよ…!)

アスカは全力で走ってゴールに駆け込んだ。

アスカがゴールすると、ヒカリ達がアスカの元に駆け寄る。


「アスカ、大丈夫だった…!?」
「うん…それより結果は…!?」


自分より気になるのは結果。
焦るアスカを落ち着かせるように結果を伝えるカヲル。


「心配ないよセカンド、1位だったよ。」
「本当…!?」
「ふふ、本当さ」
「よ…良かった…!」


それを聞いて安心したのか、へなへなとその場に力なく座るアスカ。


「だからあの時靴ひもの事を言ったのに」
「ごめんファースト…でも1位だったから問題ないでしょ!?」
「…そうね」


レイの淡々とした喋り方にちょっと申し訳なさを感じるアスカ。
確かに注意を聞かなかったのが悪かったと珍しくアスカは自分の非を認めた。


「でもいいやろ?勝ったんやし!」
「そうよね…アスカ、後は全体の結果発表よね!」


そしていよいよ結果発表。


「私達が勝たないハズないんだから!」
「せや、アンだけ頑張ったんや!」


校長先生により発表される結果は…


「今年の優勝は、2―A!

ドンッ

一同はシンジの胴上げを中断した。
そのせいでシンジは地面におもいっきり尻餅をついた。


「痛いじゃないか!酷いよ皆…」
「あ…ごめん!」
「まあ良いじゃない!次は私の胴上げして!」


今度はアスカの胴上げを始めた。
胴上げされているアスカは実に楽しそうである。

「…碇君大丈夫?」
「ありがと…」

レイに差し出された手につかまり立ち上がったシンジは皆に写真撮影をもちかけた。


「皆!記念写真撮ろうよ…!」
「そうね、せっかくだし…」


ヒカリがそれに賛成し、皆で集まって写真を撮ることにした。


「じゃあ皆、撮るぞ!」


セルフタイマーを押して走って来るケンスケ。
使っているのは勿論ケンスケのカメラ。

後数秒でシャッターが落ちる、そんな時にシンジとトウジはどちらが大きく写るかとゆう他愛もない事で揉めていた。


「トウジ押さないでよ…!」
「しゃあないやろ!」
「重い…ってわあ!」


シンジとトウジがよろけて倒れかけた瞬間、

パシャ


「「あ…」」


そしてその後二人は地面にドスンと倒れこんだ。


「ぷっ…」
「あはは…」
「ふっ…あんた達バカぁ?」


ギャアギャアヒィヒィ、その場は二人が転倒した事により大笑い。

「わ、笑わなくてもいいじゃないか!」
「だって…あはは!」
「こっちだって好きで倒れた訳ちゃうで!?」
「ふふ…つい倒れ方が面白かったものだから…」
「か…カヲル君まで…!」


かくして体育祭は皆の笑顔の中で無事終了したとさ。



後日談


「アスカはあの時のリレー頑張ったよね」
「ふふ、まあね!」
「良くあのタイミングで抜く事が出来たね。」
「あれぐらいお茶の子さいさいよ!」
「でもちょっと不安な顔してなかったかい?」
「ば…気のせいよ!」
「で、アスカ」
「何?」

「渚君の事はどう思ってるの?」

「な…何でもないってば!」
「僕がどうかしたのかい?」
「だから何でもないって!」
「嘘だぁ!」


終れ!

すすすす すいません!
最終的に読み上げると変な感じになってしまって…!
こんなんで良ければ貰っておいて下さい!(汗)


あきゅろす。
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