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最後の夢安らかであれ
大きな白い巨人、アダム…いいやリリス。
後ろから初号機が弐号機をなぎ倒して、僕の体をわしづかみにする。
僕はこういった、殺してほしいと。
初号機の手にゆっくりゆっくり力が込められて、体中に圧迫感。
段々僕の体が嫌な音を上げて、


───


「……っ!」


目を大きく見開くと、無機質な天井が見えた。
…なんだ、夢か。
でも何か凄い嫌な夢だったな。
やけに体に感じる感触がリアルで、生々しくて。

もしかして、僕が今後やる事に対しての暗示か何か?
だとしたらこれは正夢ってやつ?

…気持ち悪い、思い出しただけでぞっとする。
思い出したくなくて、ギュッと目をつむった。

「……ぁ」

気付けば僕の体は震えていて、額は汗でびっしょりだ。
自然とベッドの上で体育座りの格好になって頭を腕で抱え込む。
どうしてこんな夢見たんだろう、嫌だ嫌だ、忘れよう。

「渚…?」
「っ!」

下の方で寝ていたシンジ君を起こしてしまったようだ。
ちょっと大げさに脅えすぎだよね、ごめんごめん。

「汗びっちょりかいてるけど」

どうしたの、と眉を潜められた。
別に、どうもしてない。
どうせ夢の話なんてしたっていつもみたいに馬鹿にされてしまうだけだ。
なら、言わないでおこう。
自分が傷付かないためにも。

「…渚、どうしたんだよ」

僕の腕に、シンジ君の指が触れた。
壊れ物を扱うみたいに優しく触れてきて、甘えてしまいそうになる。
甘えてしまいたい、全部話してしまいたい。
僕は使徒なんだよ、と彼に言ったらどんな反応をするだろうか。
夢の中みたいに僕を握り潰すんだろうか。

「言えないの?」
「…怒らない?」
「なんで怒らなきゃいけないんだよ」

怒る理由もないのに怒る訳がない、と頭を撫でられた。
普段は全然優しくない癖に、こういう時はどうしてこんなに優しいんだろう。
優しすぎて、嬉しくて、泣いてしまいそう。

「君に…シンジ君に殺される夢を見た」
「僕に?」
「…うん」
「…そう」

もっと酷い反応をするかと思ったけれど、案外普通だった。
あれ、意外だな。

「おいで」
「………」

シンジ君が腕を広げて、僕を胸の中に誘った。
どうして、そんなに優しくしてくれるの?
腕の中に収まると、僕をシンジ君の手が優しく叩く。
ポンポン、とまるで母親みたいに。
そうすると不思議な事にさっきまでばくばくしていた心臓がゆっくりと治まっていく。
安心、したのかな。
よくわからないけれど凄く気持ちよくて、暖かくて、ずっとこの時間が続けばいいと思った。
これが人の温もりなのかな?

「怖かったね」
「…うん」
「もう、大丈夫だよ」
「……うん」

怖かった。
大好きなシンジ君に殺されるのが怖かった。
だけど同時に嬉しさもあった。
セカンドや、ファーストじゃない君に殺されるのが。
実際に僕が死ぬ時も君が殺してくれるのかな?
死は怖いけれど、シンジ君が与えてくれるのなら僕は安かに死ねる気がした。




最後の夢安らかであれ






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怖い夢の内容が思い付きませんでした(笑)
どうせならゲンドウにセクハラされたとかの方が怖かったでしょうか(爆)
…それは別の意味で怖いですね(笑)


あきゅろす。
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