お着替えしましょ
男子皆が一斉に体操着に着替えだす…そう、次は体育の時間である。
「体育…まっとったわ!」
「でもバスケはやらないらしいよ?」
「え、それほんまかいな」
「俺の情報に狂いはないって。な、シンジ」
しかし片隅から聞こえる会話はシンジの耳にはまったく入っていない。
心ここにあらずという感じだろうか。
「シンジ?」
「…」
「おーい、どないしたんや?」
「…」
シンジはあるものに釘付けだった。
シンジの目線を辿っていくと分かるそのあるものとは…
「はっはーん、トウジ、あれだよあれ」
「あれ…?ああ、なるほどな」
シンジが先程から目を見開き、生唾を飲み込みずっと見ていたのはカヲルが制服から体操着に着替える様子だった。
自分の着替えなどそっちのけにしてカヲルの生着替えをガン身している。
なんというか…いろんな意味でスケベというか変態というか。
「シンジー」
「うわぁっ」
ケンスケはシンジの背中を思いっきり叩いた。
その反動によろめくシンジはそれによって二人の存在に気付いたようで。
「なんだ…二人共いたなら言ってよ」
「さっきからいたぜー?」
「それよりせんせ、さっきから何見とったんや?」
「えぇっ、別に見てなんか」
トウジに問い詰められキョドりだすシンジ。
わかりやすい反応だ。
「嘘つけ、ワイらの目は誤魔化されへんで!」
「な、何が」
「カヲルの事ずっと見とったやろ!」
「ち、ち、違うよ!」
「カヲルの胸!」
「カヲルの太股!」
「カヲルのふくらはぎ!」
二人はシンジにじりじりと近寄って確かめるようにそれらの言葉を放つ。
顔がなんだかえげつない。
「好きなんやろ〜、カヲルの事」
「す、すすす好きじゃな…」
「顔に出とるで〜」
「わかるよ、その気持ち」
「うんうん」
「な、何なんだよ二人共…」
勝手に納得したりニヤニヤしたりする二人。
シンジはただただ二人の会話の流れに流されていくのみだった…
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